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 “移動(モビリティー)” をサービスと捉える新しいビジネスモデル「MaaS(マース、Mobility as a Service)」。その中核を成すのが、米国など海外で急成長するライドヘイリング(ライドシェアとも呼ばれる)ビジネスだ。代表例は、2019年に株式上場を果たした米ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)や米リフト(Lyft)だが、「MaaSの本命はライドヘイリングではなくタクシー」と分析する専門家がいる。アビームコンサルティングで自動車産業セクターを担当するコンサルタントの轟木光氏である。国内では衰退産業という見方も多いタクシーだが、なぜ「MaaSの本命」なのか。同氏に解説してもらう。(内田 泰=日経 xTECH)

 最近、メディアで「MaaS」という言葉を頻繁に目にするようになった。関連のセミナーやカンファレンスも数多く開催されており、注目度も高い。モビリティーに関わる産業界に“Disruption(破壊)”をもたらすインパクトを持つ、と報じられているためだろう。

 これまでモビリティー事業は電車・バス・タクシー・自転車などそれぞれが個別に完結していたが、MaaSはあらゆる移動サービスと情報を1つのアプリに統合し、予約から決済までを一括したサービスとして提供することを目指している。

MaaSに含まれるサービス
MaaSに含まれるサービス
(図:アビームコンサルティング)
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 ドイツの高級車ブランド「メルセデスベンツ」を展開するダイムラー(Daimler)は、自動車産業に大きな変化をもたらす4つのトレンドを「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」と表現した。この中の「S(シェアリング)」を発展させたビジネスがMaaSである。タクシーの新しいサービス形態として出現したウーバーなどが提供する「ライドヘイリング1」は、自動車におけるシェアリングビジネスの一種でもある。

*1 ウーバーなどが提供するサービスは一般に「ライドシェア」と呼ばれることが多い。ただし、本稿ではタクシーのようにA地点からB地点に個人の乗客を確実に届けるサービスを「ライドヘイリング」と呼んで区別する。ライドシェアは、ワンボックス型の車に同じ方面に行く5~6人が相乗りして目的地の近くまで届けるサービスを指す場合も多いからだ。

 ライドヘイリングで業界首位のウーバーは、2019年5月にニューヨーク証券取引所に株式を上場した。同社は現在、米国を含む6大陸、63カ国、700都市以上でサービスを展開している。ウーバーの乗車件数は2016年第4四半期に6億8900万回だったが、2018年同期には14億9300万回と2倍以上に伸張。2018年には累積乗車件数が100億回を超えた。

ウーバーと、業界2位のリフトの両サービスに対応した車両。米サンフランシスコで撮影
ウーバーと、業界2位のリフトの両サービスに対応した車両。米サンフランシスコで撮影
(写真:吉元逸郎)
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