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 オープンハウスは、AI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用して、不動産業務の自動化に取り組んでいる。2019年11月の時点で、10テーマを実現して年間2万5700時間の工数を削減しているという。中でも、AIを活用した「宅地の自動区割りシステム」「物件資料自動作成」「全自動帯替え」は、RPAだけでは実現できなかった業務を自動化した事例だ。

旗竿(はたざお)敷地など特殊な形状も自動で区割り

 宅地の自動区割りシステムは、宅地の仕入れ検討段階で実施する区割りの設計作業を自動化する試みだ。同社では、仕入れた土地を2~3戸に区割りして販売するケースが多い。この区割り設計は人が行うと、作業の依頼をしてから区割り後の設計図が返ってくるまでおおよそ1〜2日かかっていたが、仕入れるか否かを判断する上でスピードが重要になる。これをAIに任せることで、設計期間を短縮する狙いだ。現在、実用化に向けた実証実験を開始している。同社によると、AIを使った宅地区割りの自動設計は世界初の試みとのことで、特許を出願している。

宅地自動区割りシステムの操作画面(資料:オープンハウス)
宅地自動区割りシステムの操作画面(資料:オープンハウス)
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 同システムは、土地の形状データと、与条件となるパラメーターを入力すると、条件に合った区割りを自動で設計する。パラメーターとして入力する主な内容は、建築基準法などの法令に関する条件と自社で定めた条件から成る。法令関連の条件とは、建ぺい率や容積率、接道幅、前面道路の幅など。自社で定めた条件とは、隣の建物との距離や最低限必要な建物や駐車場の面積などだ。区割りする戸数もあらかじめ決めて入力する。

 ランダムに宅地割りを100件ほど生成し、それらを評価して最適な案に絞り込む。評価のポイントは、ルールを満たしていること、建物のボリュームが最大になること、各敷地の接道幅が広くて均等であることなどだ。また、全体を最適化するために、旗竿敷地など特殊な形状も生成されやすいよう調整している。

 また、一度のシミュレーションで、約30世代に及ぶプラン生成と評価を繰り返している。早期に消える案もあれば、何世代にもわたって引き継がれて改良を繰り返す案もある。また、バランスの良い複数の案を組み合わせて新たな案を作っているという。こうして最終的に最適と判断した案を提案する。つまり、案の生成と評価をAIが担うことで自動設計を実現している。

 設計者は、同システムの案に納得できなければ同じ作業を繰り返す。パラメーターを少し変えて案を出させることもできる。出てきた案の一部の寸法などを見直すこともできる。こうして、納得できる案を導き出す。CADデータとしてダウンロードし、設計などの業務に用いる。

 同システムは、仕入れ検討時以外にも活用できる。1つの物件でも、仕入れ前と後で得られるデータの精度が異なる。最初は不正確な測量結果を基に設計しているが、仕入れ後は正確な測量図になる。そうすると、寸法が違っていて、設計を見直すことになる。この際も宅地の自動区割りシステムを用いる。

 「不整形地や狭小地に効率良く建物を配置するためには、細かな調整が発生する。人の手で繰り返し設計するのは時間や手間がかかるが、調整を繰り返す作業はシステムの得意とする業務だ」。同社情報システム部ディスラプティブ技術推進グループの中川帝人課長はAI活用の狙いをこう語る。

 同システムにはタイムインターメディア(東京・新宿)のAI活用型ソリューション「進化計算DARWIN(ダーウィン)」を活用している。与えられた課題に対して何億種類ものパターンの中から効率良く多様性のある少数パターンを生成し、評価を行い、最適なパターンを抽出する仕組みだ。

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