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 「もうちょっと右」──。道路で測量をしている2人組の作業者がそんな声を掛け合っている姿を誰でも一度は見かけたことがあるだろう。これまで測量といえば、2人以上の作業者が共同で実施するのが通例だった。しかし数年後には、パートナーは「測量ロボ」になっているかもしれない。

 今回は前回に引き続き、長谷工コーポレーションが取り組む工事現場の働き方改革を取り上げる。

 建物の施工では位置出しや墨出し、距離の測定、そして設備などの取り付け後の位置確認や検査など、さまざまな場面で測量が行われる。これらの業務をいかに効率化するかは、工事現場が抱える長年の課題だった。

 長谷工は測量をデジタル活用(デジカツ)で劇的に変えようとしている。2020年度には新しい測量手段を展開していく計画で、19年度はその準備と検証を続けているところだ。

 一番の特徴は、全面的にITを使うことである。そして2人1組で実施することが多かった測量を、1人でできるようにする。相棒は測量ロボになる。

 もともと測量では測量器を使うが、この機器がここ数年で大きな進化を遂げている。測量ロボと呼んでも大げさではないレベルになってきた。背景にはBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による設計の拡大がある。

 下の図は、長谷工が検討している測量のための新しいシステム構成図だ。BIMソフト「Revit」(開発は米オートデスク)に位置出しソフト「Point Layout(ポイントレイアウト)」(同)をアドオンし、測量や検査をするポイントを打ち込んでいく。

長谷工コーポレーションが検証している新しい測量システムの構成図(資料:長谷工コーポレーション)
長谷工コーポレーションが検証している新しい測量システムの構成図(資料:長谷工コーポレーション)
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 その情報をクラウドを介して、現場の作業者が持つタブレットから見られるようにする。タブレットには位置出しや墨出し、取り付け検査などを行う際に使うソフト「BIM 360 Layout」(同)を入れる。そして無線通信のBluetooth(ブルートゥース)またはWi-Fiでタブレットを測量ロボと接続し、観測データをやり取りする。

BIMから座標データを現場のタブレットに送る。その指示に従って測量ロボが稼働し、観測データを取得する。データのやり取りはクラウドを介して実施する(資料:千代田測器)
BIMから座標データを現場のタブレットに送る。その指示に従って測量ロボが稼働し、観測データを取得する。データのやり取りはクラウドを介して実施する(資料:千代田測器)
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 測量ロボはトプコンの「DX-200i Series」(販売は千代田測器)を想定している。「BluetoothとWi-Fiに対応していることが採用の決め手になる」(建設部門建設BIM推進部第2チームの水谷公彦副主幹)。BIMに基づいてレーザー照射で測量を実施し、観測データを取得する。本体中央のカメラはぐるぐる回り、壁や床、天井、設備などにレーザーを照射できる(ただし、足元には照射できない)。

測量ロボ「DX-200i Series」を使った作業イメージ。位置出しには「プリズムポール」を使う(資料:千代田測器)
測量ロボ「DX-200i Series」を使った作業イメージ。位置出しには「プリズムポール」を使う(資料:千代田測器)
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