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光と熱の環境シミュレーションで快適なオフィス空間を導く

 他にも1日の時間の流れに沿って、ファサードの日当たりが太陽の動きとともに変化していく様子を1時間単位で検証している。こうすることで日照時間を確認できる。

1時間単位で日照時間を検証したときの様子。黄色が日が当たっているところ(資料:日本設計)
1時間単位で日照時間を検証したときの様子。黄色が日が当たっているところ(資料:日本設計)
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 この程度の解析なら人手でもできるだろうが、例えば夏至と秋分、冬至における2時間ごとの室内の明るさを、建物の階層別に検証するのは人力では大変だ。屋内照度を色別で表示し、オフィス空間として最適な明るさに収まる範囲を確かめている。光と熱の環境シミュレーションだ。

夏至、秋分、冬至における、階層別の屋内照度を2時間ごとに比較検証した様子(資料:日本設計)
夏至、秋分、冬至における、階層別の屋内照度を2時間ごとに比較検証した様子(資料:日本設計)
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 こうして年間を通して、オフィスの照度が暗すぎたり明るすぎたりしないかまで、プランを決める前に徹底的に調べ上げる。照度を計算するため、バルコニーに使う素材の違いによる光の反射率まで計算している。

1年を通して、屋内照度が暗すぎる、あるいは明るすぎる時間の割合を検証した様子(資料:日本設計)
1年を通して、屋内照度が暗すぎる、あるいは明るすぎる時間の割合を検証した様子(資料:日本設計)
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 吉田氏にとって一連のシミュレーションは、建物の設計において当たり前のことになっている。コンピュテーショナルデザインで検証した結果がプラン提案の数字的な裏づけ(エビデンス)になり、顧客への説明で説得力が増すことを実感しているからだ。合意形成にかかる時間を短縮できれば、設計期間が無駄に長引くのを未然に防げるというわけだ。

 次回は、日本設計における構造設計のコンピュテーショナルデザイン活用を紹介する予定である。