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 擬岩づくりのプロフェッショナル。その人を紹介されたとき、私は興奮してしまった──。

 水族館やテーマパークでは、数多くの擬岩が使われている。それらを専門に製作している、擬岩づくりの達人に会えるとは、取材先に着くまで考えてもみなかった。サプライズゲストである。

 今回のデジタル活用(デジカツ)は、擬岩づくりにまつわる話だ。前回取り上げた、新潟県上越市にある水族館「上越市立水族博物館 うみがたり」の自慢施設「うみがたり大水槽」。能登半島から佐渡島にかけての上越沖の海底地形を1万分の1のスケールで再現した水槽内に、精巧につくられた擬岩群がある。

日本海の海底地形を再現した「うみがたり大水槽」(写真:浅田 美浩)
日本海の海底地形を再現した「うみがたり大水槽」(写真:浅田 美浩)
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 上越沖の海底地形は、世界的にも珍しい急勾配が特徴だ。この落差を表現するため、擬岩の高さ方向だけは250分の1にデフォルメしている。水深は最大で7.3mある。

 擬岩が埋め込まれた大水槽に約1100トンの海水を満たし、日本海で見られる魚を展示している。「日本海大水槽」とも呼ばれ、人気を集めている。

上越市立水族博物館の断面図。大水槽は施設のかなりの部分を占めている。大水槽の最深部付近には水中トンネルがある(資料:日本設計)
上越市立水族博物館の断面図。大水槽は施設のかなりの部分を占めている。大水槽の最深部付近には水中トンネルがある(資料:日本設計)
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 前回、日本海大水槽を建て主である上越市に提案した日本設計が、コンピュテーショナルデザインを駆使して海底地形をあれこれシミュレーションしながらプランを検討し、設計に役立てた話を紹介した。大水槽には水中トンネルを通し、大小様々なアクリル窓がある。

日本設計はコンピュテーショナルデザインで海底地形や水中トンネル、窓のプランを検討した。アイデアが固まったら、粘土で模型をつくって検証した(資料:日本設計)
日本設計はコンピュテーショナルデザインで海底地形や水中トンネル、窓のプランを検討した。アイデアが固まったら、粘土で模型をつくって検証した(資料:日本設計)
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 コンピュテーショナルデザインとは、設計に入る前のプラン検討やスタディー、シミュレーションなどをコンピューターで実施することだ。日本設計は3次元(3D)モデリングソフト「ライノセラス(Rhinoceros)」(日本での販売元はアプリクラフト)と、そのプラグインソフトで3D形状をアルゴリズム生成して検証できるグラフィカルエディター「グラスホッパー(Grasshopper)」を主に使っている。

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