全4172文字
PR

 今回のデジタル活用(デジカツ)は、建築には欠かせない「建築確認申請」と「審査」のプロセスを劇的に変えようとする意欲的なチャレンジについてである。紙の書類で審査してきたものを、デジタルのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データによる審査に置き換えて、確認期間を半減させようというものだ。

 実現すれば、建設業界の画期的な改革につながる。過去に企業のBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)や現場革新の記事を数多く執筆してきた私は、このコラムでぜひ紹介したいと考えた。

 そもそも建築確認申請とは、建て主が「申請図書」を提出して建築確認を受け、「確認済証」の交付を受けるための一連の手続きを指す。確認申請の手続きには現状、紙の書類が不可欠である。

 設計者がBIMで建物を3次元(3D)でデジタル設計しても、確認申請に必要なのは依然として、アナログな紙の書類だ。BIMデータは直接、確認申請には使えない。

 わざわざ図面などの書類をBIMデータを基にプリントアウト。それを、国土交通大臣や都道府県知事から指定された「指定確認検査機関」に提出して、審査を受ける必要がある。

 このプロセスを何とか変えられないか。設計者が申請図書として、紙の書類ではなくBIMデータを提出し、検査機関がコンピューターで法適合を審査する。こうした流れをつくろうと、清水建設と検査機関の日本建築センター(東京都千代田区)がタッグを組んだ。

清水建設(右の2人)と日本建築センター(左の2人)の幹部がそろって会見した。時節柄、少人数で実施された(写真:日経アーキテクチュア)
清水建設(右の2人)と日本建築センター(左の2人)の幹部がそろって会見した。時節柄、少人数で実施された(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 企業の業務改革と言えば、筆頭に挙げられるのが紙の削減、ペーパーレスだ。しかし、図面を扱う建設業界では、今も紙の書類が幅を利かせている。

 BIMで3D設計していても、確認申請のために2次元に「変換」して紙の書類を用意するという手間をかけている。これでは審査の効率化は望めない。

 建設業界では「当たり前」のことなのだろうが、様々な企業や他業界の業務改革を取材してきた私の目には、無駄が多いと映る。紙のやり取りが前提になったままでは、審査業務を効率化したくても限界がある。

 そんな中、建設業界が抱える課題に切り込もうと動き始めたのが、清水建設と日本建築センターである。両者は共同で、BIMデータによる申請図書の提出および自動審査を先取りした「建築確認システム」を構築した。2019年6月から両者で協議を始め、20年3月末にシステムが完成。このほど公表した。

「建築確認システム」の全体像(資料:清水建設)
「建築確認システム」の全体像(資料:清水建設)
[画像のクリックで拡大表示]

 システムの中核となるツールは、BIMで設計する際に必要になる「ファミリ(パーツ=建築部材の形状情報と属性情報)」と、BIMで作成したモデルの「法適合自動判定プログラム」である。

 今回用意したファミリは、清水建設が利用している、米オートデスクのBIMソフト「Revit」を基に構築したシステム「Shimz One BIM(設計施工連携BIM)」のファミリをベースにしている。

「Shimz One BIM」のイメージ。BIMソフトのRevitをベースに構築している(資料:清水建設)
「Shimz One BIM」のイメージ。BIMソフトのRevitをベースに構築している(資料:清水建設)
[画像のクリックで拡大表示]