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 人が近づきにくい環境下で、ロボットが人に代わって動き回る。もはや未来の話ではない。新型コロナウイルスの感染拡大防止で、ロボットが活躍する場面は世界中で急増するだろう。工事の中断が相次ぐ建設業界は、医療現場と共にこの分野で先行する可能性がある。

新型コロナウイルスの感染が広がった米国では、犬型の4足歩行ロボット「Spot(スポット)」にタブレットを取り付けて、医療現場を支援する動きが始まった(写真:米ボストン・ダイナミクス、https://github.com/boston-dynamics/bosdyn-hospital-botで医療向けの情報を公開している)
新型コロナウイルスの感染が広がった米国では、犬型の4足歩行ロボット「Spot(スポット)」にタブレットを取り付けて、医療現場を支援する動きが始まった(写真:米ボストン・ダイナミクス、https://github.com/boston-dynamics/bosdyn-hospital-botで医療向けの情報を公開している)
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 ウイルス感染を防ぐため、人と人との距離を一定以上に保つ「ソーシャルディスタンシング(またはソーシャルディスタンス、社会的距離)」が求められている。そんな中、エンジニア集団のライゾマティクス(東京都渋谷区)は2020年4月3日、「Staying TOKYO」というオンラインイベントを立ち上げた。

 同社の代表で建築や都市計画に詳しい齋藤精一氏と、エンジニアでメディアアーティストとしても活動する真鍋大度氏が、毎週金曜の夜にゲストを迎え、様々な実験やトークを展開している。「家にいよう」「家からできることをしよう」をテーマに、新しいコミュニケーション手段や空間デザインを模索する。しかも実際に動くネット環境を整えて、一般に公開。課題を探っていく試みだ。

 前回のこのコラムでは、自宅から参加できるオンラインパーティーを私自身が体験した話をお届けした。

真鍋氏(左から2番目)らライゾマティクスの3人と私(左端)で、オンラインパーティーをしているところ。4人は別々の場所からリモートで参加した(資料:ライゾマティクス)
真鍋氏(左から2番目)らライゾマティクスの3人と私(左端)で、オンラインパーティーをしているところ。4人は別々の場所からリモートで参加した(資料:ライゾマティクス)
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 続く今回のデジタル活用(デジカツ)では、4月10日にStaying TOKYOで実施された視聴者参加型のロボット実験「Spot experiment」を紹介する。一言で言えば、視聴者が自宅にいながら、自分のスマートフォンやパソコンなどからSpotを操作する、というものだ。

4月10日に開かれた「Staying TOKYO」の告知画面(資料:ライゾマティクス)
4月10日に開かれた「Staying TOKYO」の告知画面(資料:ライゾマティクス)
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 一般の人たちにとっては、米ボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)の犬型ロボ「Spot(スポット)」が動く姿を見るだけでも新鮮な体験だろう。しかし、Spot experimentはそれだけでは終わらない。

 実験を企画した真鍋氏は「今後は無人の場所にいるロボットを複数の人で動かし、物を運んだり障害物をどかしたり、ライトをつけて暗闇を探索したりといったことが普通になる。離れた場所にいる人たちと、現場にいるロボットの関係性を考える第一歩として、Spotをみんなに『開放』してみることにした」と説明する。

Spot experimentに登場した1台のSpot。動き出しただけで、視聴者は大喜びだった(資料:ライゾマティクス)
Spot experimentに登場した1台のSpot。動き出しただけで、視聴者は大喜びだった(資料:ライゾマティクス)
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 私もSpot experimentに「参加」した1人だ。あえて参加と書いたのは、単なる視聴ではなく、私もSpotを遠隔操作することにチャレンジしたからだ。

 スマホの画面を見ているだけとは違い、Spotを遠隔操作するのはちょっとだけハードルが高い。「コマンド(操作指示)」の入力が必要になるからだ。

Spotを遠隔操作するには、チャットボックスにコマンドを入力する必要がある(資料:ライゾマティクス、私の顔のイラスト画像は後から追加したもの、イラスト:宮沢 洋)
Spotを遠隔操作するには、チャットボックスにコマンドを入力する必要がある(資料:ライゾマティクス、私の顔のイラスト画像は後から追加したもの、イラスト:宮沢 洋)
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