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 屋内空間でありながら、青空を最大限楽しめるガラスの大屋根が自慢の「三角広場」が2020年7月1日に開業した。晴れた日はガラス屋根から自然光が差し込み、広場を明るく照らす。

基本・実施設計を手掛けた日建設計の担当者と一緒に三角広場のガラス屋根を見上げながら、日射解析や空調温熱の説明を受ける私(左)(写真:日経クロステック)
基本・実施設計を手掛けた日建設計の担当者と一緒に三角広場のガラス屋根を見上げながら、日射解析や空調温熱の説明を受ける私(左)(写真:日経クロステック)
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 全天候型の三角広場は、空調が利いていて快適だ。雨に濡れることもない。新宿住友ビルの低層部に位置するが、「公開空地」なので誰でも出入りできる。来館者にはメリットが多いスポットといえる。

 年間を通して居心地が良い屋内空間を維持するには、設計段階から日射と空調温熱の綿密な計画が欠かせない。これを怠ると、夏場は屋根に降り注ぐ日光がガラスを突き抜けて広場の床に達し、猛烈な暑さになる。空調をフル稼働させないといけなくなり、電気代がかさむ。事業主体である住友不動産の負担は大きくなる。

 そこで三角広場の基本・実施設計を担当した日建設計はプランの作成時に、光と空気のコンピュテーショナルデザインを徹底的に実施した。結果を住友不動産に示し、時にはVR(仮想現実)のデモも交えて設計の合意を取り付けた。

 三角広場は新宿住友ビルを取り囲むように、四方に広がる。では広場には365日、どのように太陽の光が照り付けるのだろうか。シミュレーションで確かめた。

2020年6月に空撮した新宿住友ビルと足元に竣工した三角広場。ビルの影が広場にかかっている(写真:住友不動産)
2020年6月に空撮した新宿住友ビルと足元に竣工した三角広場。ビルの影が広場にかかっている(写真:住友不動産)
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 日建設計設計技術センターダイレクター ファサードエンジニアの村上博昭氏によれば、「太陽の動きには狂いがない。そのため、太陽シミュレーションは最も信頼できる」と話す。つまり、住友不動産に対して合理的な説明がしやすい。

 新宿住友ビルは地下4階・地上52階建てで、高さは約210mある。方位は、上の写真の左上に見える東京都庁側が南になる。ビルの北西に位置する三角広場にはほぼ終日、影が落ちる。

 高層ビルが立ち並ぶ西新宿にある新宿住友ビルと三角広場には、周辺の建物の影もかかる。そのことが太陽シミュレーションで事前に確認できた。

三角広場の太陽シミュレーション。真夏の8月20日の太陽の動きで、日なたと日影の変化を時刻ごとに確認した。資料は午前9時の様子。朝日に照らされた高層ビル群の影が長く伸びる(資料:日建設計)
三角広場の太陽シミュレーション。真夏の8月20日の太陽の動きで、日なたと日影の変化を時刻ごとに確認した。資料は午前9時の様子。朝日に照らされた高層ビル群の影が長く伸びる(資料:日建設計)
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同日正午の様子。太陽が高く、影は短くなる。それでも三角広場には影が落ちている(資料:日建設計)
同日正午の様子。太陽が高く、影は短くなる。それでも三角広場には影が落ちている(資料:日建設計)
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同日午後3時の様子。西側に立つビルの影が三角広場に大きくかかり、西日の影響を受けにくい(資料:日建設計)
同日午後3時の様子。西側に立つビルの影が三角広場に大きくかかり、西日の影響を受けにくい(資料:日建設計)
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同日午後5時の様子。日没時は三角広場が影に覆われる(資料:日建設計)
同日午後5時の様子。日没時は三角広場が影に覆われる(資料:日建設計)
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 こうしてみると、三角広場は夏場の直射日光の影響を受けにくい環境にあることが分かる。