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 白と黒の奇妙な模様が描かれたカーペット。同じ模様が壁の至るところに張られている。この異様な空間は何だろうか。

 私はこのコラムで前回、AGCの研究施設内にある「XRラボ」で、ガラスのVR(仮想現実)体験をしてきた話を紹介した。透明なガラスが光の当たり方次第で様々な色に見える現象をVRで再現し、それをゴーグルをかぶって見た。

 実は前回は、XRラボの入り口近くにあるVRゾーンしか写真を掲載しなかった。この部屋の奥は、MR(複合現実)の体験コーナーになっている。それが白と黒の模様だらけの場所である。サイコロの目にも見えるが、そうではない。

AGCの「XRラボ」の奥側は、MRの体験コーナーになっている。白と黒の奇妙な模様がいっぱいだ(写真:日経クロステック)
AGCの「XRラボ」の奥側は、MRの体験コーナーになっている。白と黒の奇妙な模様がいっぱいだ(写真:日経クロステック)
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 MRは、現実空間と仮想空間を重ね合わせて見るものである。AR(拡張現実)と言ったほうが伝わりやすいかもしれない。

 現実空間に仮想の画像をピッタリと重ねる必要があるため、位置合わせが重要になる。その基準となる「マーカー」として、この部屋では白と黒の模様を使っている。マーカーをよく見ると、黒い模様は六角形の組み合わせでできている。

 VRではゴーグルをかぶったが、MRは手持ちのディスプレーで体験させてもらった。頭に装着するより、両手でデバイスを持つほうがはるかに楽だ。MRディスプレーやマーカーは、キヤノンの「MREAL(エムリアル)」を使っている。マーカーの模様はキヤノンが開発したもので、AGC固有の柄ではない。

両手で持つMRディスプレーを使い、仮想のガラスを見てみた。床や壁にある白と黒の模様は、現実空間と仮想の画像を正確に重ね合わせるために必要な位置合わせのマーカーだ(写真:日経クロステック)
両手で持つMRディスプレーを使い、仮想のガラスを見てみた。床や壁にある白と黒の模様は、現実空間と仮想の画像を正確に重ね合わせるために必要な位置合わせのマーカーだ(写真:日経クロステック)
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 私がMRディスプレーで見ているのは、XRラボの実空間上に表示した大きな透明のガラス板である。空中に浮かんでいるガラスの画像を見ていると思ってほしい。ガラスの大きさは実寸だ。

 少々分かりにくいが、私が見ている風景と同じものをパソコンの画面に表示したのが下の写真である。車のフロントガラスであり、車の前面にはめ込む形をしている。実寸だと、かなり大きい。

現実空間に仮想のガラスを浮かべるようにして見たときの様子。透明なガラスの画像がある部分は、現実空間の見え方が少し違っている(写真:日経クロステック)
現実空間に仮想のガラスを浮かべるようにして見たときの様子。透明なガラスの画像がある部分は、現実空間の見え方が少し違っている(写真:日経クロステック)
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 透明なガラスの画像を目の前で見ているだけなので、現実空間が劇的に変わって見えるわけではない。ただ、ガラス板の輪郭は、MRではっきり確認できる。当然だが、MRで見ている仮想のガラスに触れることはできないので、手触りの質感までは分からない。

仮想のガラス板に手を伸ばす私。触ることはできないが、大きさは体感できる(写真:日経クロステック)
仮想のガラス板に手を伸ばす私。触ることはできないが、大きさは体感できる(写真:日経クロステック)
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 AGC先端基盤研究所共通基盤技術部評価科学チームの小林光吉マネージャーがパソコンの画面を見ながら、私が理解しやすいように、ガラス板を手で持っているようなしぐさをしてくれた。こうすると、ガラスの大きさをより実感しやすくなる。

先端基盤研究所の小林光吉マネージャーが、仮想のガラスを手で持つ振りをしてくれた(写真:日経クロステック)
先端基盤研究所の小林光吉マネージャーが、仮想のガラスを手で持つ振りをしてくれた(写真:日経クロステック)
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 ここで小林マネージャーが、ガラス板を見るうえで最も特徴的な部分を教えてくれた。板の断面だ。

MRでガラス板の断面を見るよう、私に促す小林マネージャー。本物のガラスを手に取って、断面を説明してくれている(写真:日経クロステック)
MRでガラス板の断面を見るよう、私に促す小林マネージャー。本物のガラスを手に取って、断面を説明してくれている(写真:日経クロステック)
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 なぜ、ガラス板の断面に注目するのか?