東京都港区に誕生した新街区「東京ポートシティ竹芝」が2020年9月14日に開業した。都が行う「都市再生ステップアップ・プロジェクト」の1つで、15年には国家戦略特別区域計画の特定事業の認定を受け、東急不動産と鹿島が共同開発してきた巨大プロジェクトだ。
中核施設となるオフィスタワーは地下2階・地上40階建て。地上9~39階のオフィスフロアには、ソフトバンクグループとその傘下企業が入居した。
オフィスタワーは国内最先端の「スマートビル」を標榜している。合計で約1300個のセンサーやカメラ、Wi-Fi接続機器、ビーコンなどを館内に設置しているのが特徴だ。「建物丸ごとセンシング」を実現し、様々なリアルタイムデータをクラウドの「Smart City Platform(スマートシティー・プラットフォーム)」に集約して活用する。
東急不動産とソフトバンクはオフィスタワーでSmart City Platformの運用ノウハウを蓄積し、竹芝エリア全域に展開することを想定している。それがリアルタイムデータの流通プラットフォームを意味する「都市OS」のベースになるかもしれない。スマートビルからスマートシティーに広がる基盤の1つになる。
開業に先立ち、同9日にはメディア向けの内覧会が開かれた。私はスマートビルの全貌を確かめるべく、竹芝に向かった。とにかくセンサーやカメラなどを、ひたすら探し回ることにした。天井や壁を見渡して、見つければ写真を撮った。
代表的なものを並べてみよう。1300個近くあるセンサー類のうち、3分の1以上を占めるのがトイレの個室に取り付けられた、ドアの開閉センサーだ。これで空き状況が分かる。
人流センサーも天井のあちこちに付いている。私が見たのは黒い箱のような装置だ。フロアやエレベーターホールの混雑が分かる。
店舗の入り口にも、来店客数をカウントするセンサーがある。通過人数と席数を比較すれば、レストランの空き状況や混雑が分かる。
オフィスロビーにある入館ゲートには、顔認証用のカメラが付いたセンサーもある。カメラが従業員一人ひとりの顔を識別し、あらかじめ登録された顔と一致すればゲートが開く。しかもその人が働くフロアを特定し、乗るべきエレベーターの番号を示してくれる。
他にも防犯カメラやWi-Fi装置など、あちこちに様々な色や形をしたセンサーやカメラ、アンテナが付いているのを確認した。中には「隠れキャラ」も存在する。内覧会のためにデモをしていなければ、見つけにくいセンサーだ。さて、どこか。