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 「あの垂れ壁が『建築確認』時の図面通りになっているか、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データを参照しながら実際に検査してみましょう」

 建築確認検査を実施している日本ERI(東京・港)の検査担当者が天井の垂れ壁を見上げながら、現物に近づいていく。頭には、日本マイクロソフトのMR(複合現実)機「HoloLens 2(ホロレンズ 2)」をかぶっている。

HoloLens 2をかぶり、天井の透明な垂れ壁(赤い矢印)に近づいていく日本ERIの検査担当者(写真:日経クロステック)
HoloLens 2をかぶり、天井の透明な垂れ壁(赤い矢印)に近づいていく日本ERIの検査担当者(写真:日経クロステック)
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 日本ERIの検査担当者はHoloLens 2のレンズ越しに、実際の垂れ壁と、そこに重ねて表示されるBIMデータを見ている。こうして、建築確認を通った図面の内容と全く同じに建物がつくられているかをチェックしていく。

HoloLens 2で垂れ壁を見たときの様子。垂れ壁に重ねて、垂れ壁に関するBIMデータを仮想表示している(資料:東急建設)
HoloLens 2で垂れ壁を見たときの様子。垂れ壁に重ねて、垂れ壁に関するBIMデータを仮想表示している(資料:東急建設)
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 後を追いかけるように、同じくHoloLens 2をかぶった私も日本ERIの検査担当者をまねして、垂れ壁を指さしてみた。するとHoloLens 2が私の指先の方向を認識し、垂れ壁を対象物として選択する。

HoloLens 2をかぶった私。検査担当者のまねをして、垂れ壁を指さす(写真:日経クロステック)
HoloLens 2をかぶった私。検査担当者のまねをして、垂れ壁を指さす(写真:日経クロステック)
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2本の指でつまむように垂れ壁をピンチインすると、BIMデータが実物に重なって表示される(写真:日経クロステック)
2本の指でつまむように垂れ壁をピンチインすると、BIMデータが実物に重なって表示される(写真:日経クロステック)
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 私は建築の完了検査を目にすること自体、初めてである。通常は紙の設計図などを見ながら、現物の完了検査を実施しているという。だが2020年10月中旬のこの日は、近い将来、現実になるかもしれないBIMとMRを使った完了検査の模擬実験をしていた。私はその場に参加させてもらった。

 模擬実験の機会を設けたのは、東急建設だ。埼玉県川口市で近々竣工予定(取材時)である実際の商業施設で体験会を実施した。この建築物は既に、日本ERIから本当の完了検査を受け終わっている。

 そのうえで東急建設は、建築確認のときに提出した設計図の基になっているBIMデータをHoloLens 2に詰め込み、紙の図面ではなくMRの画像を見ながら完了検査をする状況を再現した。

 例えば検査担当者は、窓サッシの寸法が設計図に記された長さになっているかを確認する。それをHoloLens 2で試す。検査担当者が窓に近づき、対象物を選択すると床面に寸法が仮想表示される。

検査担当者が窓サッシの寸法が設計図通りの長さになっているかを確認しているところ(写真:日経クロステック)
検査担当者が窓サッシの寸法が設計図通りの長さになっているかを確認しているところ(写真:日経クロステック)
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HoloLens 2越しに見ると、床にサッシの寸法が重ねて表示される(資料:東急建設)
HoloLens 2越しに見ると、床にサッシの寸法が重ねて表示される(資料:東急建設)
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 国土交通省は19年6月に「建築BIM推進会議」を設置し、その中で建築確認におけるBIMデータ活用を議論している。建築確認がBIMデータを基に進む日が来れば、その先の完了検査もBIMデータを使ったものに変わるかもしれない。

 東急建設は日本ERIに協力を依頼し、HoloLens 2を使った完了検査を実機で体験してもらう場を設けた。同社は17年からHoloLens(初代機)を、建設プロセスの様々な場面で使えないか検証してきた。この日もその一環だ。

 東急建設建築事業本部技術統括部の林征弥BIM推進部長は、「建築確認だけでなく、完了検査にもBIMデータを使うメリットは大きい。作業の効率化や正確性の確保を期待できる。そのためにも今から準備しておく必要がある」と話す。

東急建設建築事業本部技術統括部の林征弥BIM推進部長(写真:日経クロステック)
東急建設建築事業本部技術統括部の林征弥BIM推進部長(写真:日経クロステック)
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東急建設における19年から21年までの、BIMやMRに対する取り組みロードマップ(資料:東急建設)
東急建設における19年から21年までの、BIMやMRに対する取り組みロードマップ(資料:東急建設)
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