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 常盤橋の日本一高いビル、ドバイ万博の日本館、新宿歌舞伎町の超高層エンターテインメント施設──。

 ビッグプロジェクトが目白押しである建築家の永山祐子氏は、自身が主宰する永山祐子建築設計(東京・新宿)の事務所を移転した。都心での打ち合わせが急増していたため、これまで自宅の近くにあった東京・杉並の事務所から、山手線内の中心に位置する四谷にオフィスを移したのだ。現在ここで、永山氏を含めて15人が働いている。

 2020年7月の引っ越しから約3カ月が経過した同年10月、私は永山氏の新オフィスを訪問した。ちょうど、永山氏の参画が発表された「東京駅前常盤橋プロジェクト」の記者会見の直後だった。そのため、話は大いに盛り上がった。街区名は「TOKYO TORCH(トウキョウ トーチ)」に決まった。

移転したばかりの事務所で永山氏と話す私。オフィス一番奥の隅が永山氏のデスク。だが自分の机に向かっていられる時間は少なく、絶えず動き回っている(写真:日経クロステック)
移転したばかりの事務所で永山氏と話す私。オフィス一番奥の隅が永山氏のデスク。だが自分の机に向かっていられる時間は少なく、絶えず動き回っている(写真:日経クロステック)
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 JR東京駅に隣接し、TOKYO TORCHの中核になる超高層ビル「Torch Tower(トーチタワー)」の低層部のデザインアドバイザーを永山氏の事務所が務める。27年度に完成すると日本一の高さになる約390mのトーチタワーは、低層部だけで高さが約60mもあるという。

 永山氏は地上1~8階に「空中散歩道」を設けることを提案している。その長さは2kmに及ぶ。ちょっとしたランニングコースになりそうだ。新オフィスには、空中散歩道を検討したときの模型が置かれていた。

永山氏の事務所がトーチタワー低層部のデザインアドバイザーを務める。地上1~8階に「空中散歩道」を設ける計画だ。JR東京駅近くの新名所になるのは間違いない(資料:三菱地所)
永山氏の事務所がトーチタワー低層部のデザインアドバイザーを務める。地上1~8階に「空中散歩道」を設ける計画だ。JR東京駅近くの新名所になるのは間違いない(資料:三菱地所)
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 話題には事欠かない。永山氏はドバイ万博「日本館」の建築設計にも参画している。本来であれば、ちょうど今の時期、ドバイ万博が開かれているはずだった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、万博は21年10月に延期に。ただ、永山氏の事務所が設計に関わる日本館は、おおむね完成しているという。

 永山氏は新型コロナ以降、ドバイに渡航できなくなった。20年1月に現地入りしたのを最後に、もう1年近く現場を自分の目で見ていない。現地から送られてきた写真を見せてもらったが、特徴的な白い膜のようなファサードは確かにほぼ出来上がっていた。幸い、近く再訪できる見通しだという。

ドバイ万博「日本館」の建築設計にも、永山氏の事務所が参画している(資料:経済産業省)
ドバイ万博「日本館」の建築設計にも、永山氏の事務所が参画している(資料:経済産業省)
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 ちなみに先ほどのトーチタワーの頂部は、建築家の藤本壮介氏の事務所がデザインアドバイザーを務める。藤本氏は25年の大阪・関西万博の会場デザインを担当することが決まった。

 偶然だが、日本一の高さを誇るトーチタワーは、永山氏と藤本氏の「万博コンビ」がデザインアドバイザーに名を連ねている。

 そして現在、設計が佳境を迎えているのが、かつての新宿TOKYU MILANO跡地を中心とした敷地で進んでいる「歌舞伎町一丁目地区開発計画(新宿TOKYU MILANO再開発計画)」の中核となる超高層の複合施設プロジェクトだ。22年8月の開業を計画している。

「新宿TOKYU MILANO再開発計画」で中核となる高層複合施設(左)、建物に隣接する「シネシティ広場」と連動した映画イベント(右上)、音楽イベント(右下)のイメージ。新宿の一大エンタメ拠点になるビルのファサード設計を永山氏の事務所が担当(資料:東京急行電鉄、東急レクリエーション)
「新宿TOKYU MILANO再開発計画」で中核となる高層複合施設(左)、建物に隣接する「シネシティ広場」と連動した映画イベント(右上)、音楽イベント(右下)のイメージ。新宿の一大エンタメ拠点になるビルのファサード設計を永山氏の事務所が担当(資料:東京急行電鉄、東急レクリエーション)
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 トーチタワーには及ばないが、TOKYU MILANOの新しいビルも高さは約225mと巨大だ。西新宿の高層ビル街とは違い、歌舞伎町周辺には高いビルが少ない。そのため、1棟だけ飛び抜けて高いビルがそびえ立つことになる。

 その建物を覆うファサードを、永山氏の事務所が設計している。ファサードはガラスとアーチで「水」を表現したものになる予定だ。魚のうろこのようなデザインの精巧な模型や素材サンプルが、オフィスにたくさん置かれていた。東京に誕生する新たなランドマークの超高層ビル2棟に、永山氏は関わっている。

 ファサードを設計するに当たり、永山氏の事務所では「TOKYU MILANOの新しいビルが周囲からどう見えるのか」をVR(仮想現実)で逐一確認している。周りに遮るものが少ないので、かなり遠くからでもよく見える。そしてビルに近づくと、体を反らして見上げるような高さになる。

ゴーグルをかぶってVRを見ていると、自分では気づきにくいが相当上を見上げていた(写真:日経クロステック)
ゴーグルをかぶってVRを見ていると、自分では気づきにくいが相当上を見上げていた(写真:日経クロステック)
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