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 大成建設が都市のデジタル化に取り組みだした。まずは東京の銀座と西新宿という性格が異なる2つの街を選び、分析手法も変えて実験を進めている。

 日本有数の商業エリアである銀座は、都市計画向けのシステムを使って街の「デジタルツイン」を試作した。デジタルツインとは、仮想空間上に本物そっくりなものを作成することだ。電子的な双子の意味である。

 仏ダッソー・システムズの都市計画向けサービス「3DEXPERIENCity」を日本で初めて採用したことを、2019年10月に公表。銀座4丁目の交差点を中心に、建物だけでなく、道路や信号、街路樹などもモデルに組み込んで再現した。

銀座4丁目の交差点を中心に、建物だけでなく道路や信号、街路樹などもデジタルモデルで再現(写真:大成建設)
銀座4丁目の交差点を中心に、建物だけでなく道路や信号、街路樹などもデジタルモデルで再現(写真:大成建設)
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 建物1棟1棟ではなく、銀座という街全体を1つの塊として捉えてモデル化する。そうすることで、これまで気づきにくかった銀座の街としての課題を発見し、「設計・施工で建物をつくった後のサービス提供や改修の提案につなげていきたい」。銀座のデジタルツインづくりの中心メンバーである大成建設建築総本部デジタルプロダクトセンターBIM推進担当主任の池上晃司氏は、都市モデル制作の狙いをそう説明する。

 19年10月には日本マイクロソフトと協業し、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を使った建物の運用・保守事業の変革にも乗り出した。それに先立ち、19年7月にはソリューション営業本部に「AI・IoTビジネス推進部」を設置。部長を務める上田俊彦氏は「当社にとっては、かなりのチャレンジ。社内の様々な部署と連携し、新事業の創出に動く」と、AI・IoTビジネス推進部の位置付けを話す。

 大成建設は街の再現というデジタルツインの生成技術を習得すると共に、使い道を探っている。池上氏は「どんなデータをどのくらいのコストや工数で取り込めるのかなどは、やってみないと分からないのが実情だ。モデルを生成しながらつくり込みの精度を確認したり、何ができるのかを検証したりと試行錯誤を繰り返している」と語る。

 例えば、銀座の主な建物をデジタルツインに登録していくと、ビルの高さごとに色分けして表示するといったことは簡単にできるようになる。すると何が分かるか。

 「今後、ビルを丸ごとIoT化しようと考えたとき、建物の大きさが分かれば、必要になるセンサーの数を概算できる。既存の建物に対して、新たな付加サービスの提案につなげやすい」(池上氏)

銀座にあるビル群を高さに応じて色分けした例。5階、10階、15階建て以上といった具合に区別して表示できる(写真:大成建設)
銀座にあるビル群を高さに応じて色分けした例。5階、10階、15階建て以上といった具合に区別して表示できる(写真:大成建設)
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 他にも、銀座のある建物から外を見たとき、何が見えて何が見えないのかといった、人の目に入ってくる景観のシミュレーションがすぐにできる。現地に行かなくても、ビルごとに窓や屋上からの眺望をイメージできる。今はこの作業を人力で実施していることが多い。

銀座のあるビルから見えるもの、見えないものを色分けした景観シミュレーション。緑が「見える」、赤が「見えない」を表している(写真:大成建設)
銀座のあるビルから見えるもの、見えないものを色分けした景観シミュレーション。緑が「見える」、赤が「見えない」を表している(写真:大成建設)
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