新システム「MINORI」の開発プロジェクトを進めるなかで、みずほフィナンシャルグループ(FG)は開発完了時期を2回延期している。1度目と2度目でそれぞれ事情は異なる。
1度目に延期を決めたのは2014年初めのこと。2016年3月としていた開発完了時期を2016年末に9カ月間遅らせた。要件定義を終えて改めて開発期間を精緻に見積もったところ、当初の見込みより長引くと分かった。
一方、2度目の延期は総合テストの終了が見えてきた2016年11月に発表した。2016年末としていた完了時期を数カ月間延ばす旨を、決算会見の席で当時の佐藤康博社長が明かした。「外国為替取引(外貨)」や「定期性預金」といった業務アプリケーションで、品質強化が必要と判断したのが一因とみられる。最終的にMINORIの開発が完了したのは2017年7月だった。当初の計画から1年半近く遅れた格好だ。
「始めてみると、規模の大きさやテストの難しさが分かってきた」。みずほFGの安部大作副会長執行役員は1度目の延期判断についてこう振り返る。同社は2011年3月の大規模障害を受けて同年6月に提出した「業務改善計画」で、2016年3月末をめどに次期システムを構築することを掲げていた。2012年3月に策定した基本計画も同じ期限を示していたもようだ。
要件定義前の計画を見直し
しかし計画を立てたのは本格的な要件定義に入る前のタイミングだ。あくまで段取りとしての計画であり、工程ごとの期間は他の大規模プロジェクトを参考に決めていた。実際に要件定義を終えて改めてスケジュールを精査した結果、設計工程やテスト工程を長く見積もる必要が出てきた。
大幅な手戻りを防ぐために新設した工程の影響もあったとみられる。みずほFGは「プレユーザー受け入れテスト(プレUAT)」と呼ぶ工程をプロジェクトの途中で追加している。