無人の重機がボタン1つで土をならし、溝を掘り、土砂を運ぶ――。そんな工場化された建設現場が出現しようとしている。建設会社や建設機械メーカーなどが協力したり、しのぎを削ったりして開発を進める重機の自動・自律運転。24時間施工も難なくこなし、建設現場の生産性を劇的に改善する可能性を秘めた最新技術の開発事例や現場適用事例を追うとともに、技術開発に注力する組織を整理した業界地図を作成。重機種別ごとに将来の適用時期を予測する。

無人の重機がボタン1つで土をならし、溝を掘り、土砂を運ぶ――。そんな工場化された建設現場が出現しようとしている。建設会社や建設機械メーカーなどが協力したり、しのぎを削ったりして開発を進める重機の自動・自律運転。24時間施工も難なくこなし、建設現場の生産性を劇的に改善する可能性を秘めた最新技術の開発事例や現場適用事例を追うとともに、技術開発に注力する組織を整理した業界地図を作成。重機種別ごとに将来の適用時期を予測する。
建設会社や重機メーカーをはじめ、重機の自動運転や自律運転の技術開発を進める企業は着実に増えている。自動運転などの技術開発で重要な役割を果たす人工知能(AI)や制御技術の活用を図るために、IT企業、大学、研究機関などと手を結ぶケースも珍しくなくなってきた。
地方の中小規模の建設会社と大学などがタッグを組み、ダンプトラックのロボット化に挑む――。宮城県加美町の佐藤工務店と東北大学、千葉工業大学、三洋テクニックス(仙台市)、コーワテック(東京都港区)の5者は、ダンプトラックの自律走行による土砂搬送の研究開発に取り組む。
油圧ショベルはブームやアーム、バケットなどの操作が複雑なだけでなく、走行機能も持つ。そのため、自律運転に向けたハードルは高い。それでも、この重機に着目して研究開発を進める会社がある。
熊谷組は、SOINN(東京都町田市)と共同で、土砂の運搬などに用いられる不整地運搬車(クローラーキャリア)の自動走行技術を開発。国土交通省が発注した阿蘇大橋地区斜面防災対策工事の土砂搬出作業でこのシステムを導入した。
ダムの建設現場に自律運転が可能な重機が二十数台展開。堤体の盛り立て作業を70時間連続で行う――。重機による自律施工の大掛かりな取り組みが、鹿島・前田・竹中土木JVが施工する成瀬ダム堤体打設工事で、早ければ2020年秋に実現する。自動で操れる重機が20台を超える数で建設現場に投入され、実際の施工を担…