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 2019年7月に日本政府による対韓半導体・ディスプレー材料3品目の輸出管理厳格化が始まってから、韓国企業は材料・設備を日本に依存しすぎていたとして、国産化を進めるとともに日本以外の国からの調達に切り替えていた。安定的な材料・設備調達のために韓国産業通商資源部(韓国の部は日本の省に相当)のソン・ユンモ長官が“セールスパーソン”となって米国シリコンバレーで説明会を開催するなどの“営業”を続けた結果、2020年1月9日に米デュポン(DuPont)が半導体の材料として使われるEUV(極端紫外線)リソグラフィー用フォトレジストの開発・生産施設を韓国の天安(チョナン)市に新設すると発表した。

デュポンは韓国内にEUVリソグラフィー用フォトレジスト工場を新設すると発表した。(出所:韓国産業通商資源部)
デュポンは韓国内にEUVリソグラフィー用フォトレジスト工場を新設すると発表した。(出所:韓国産業通商資源部)
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 新施設では、同社が世界市場でシェア8割を占める半導体製造用CMP(化学機械研磨)パッドも生産する。天安市には同社の韓国子会社(ローム・アンド・ハース電子材料コリア)の工場がある。この韓国子会社は現在、回路基板用材料を生産している。フォトレジストとCMPパッドの韓国での生産に向けて、デュポンは2800万米ドル(約30億5000万円)を新施設に投資する。フォトレジストは半導体製造に欠かせない材料で、日本が韓国に輸出管理を厳格化している品目の1つである。

 デュポン・エレクトロニクス・アンド・イメージングの社長であるジョン・ケンプ氏は、韓国政府機関に投資申告書を提出した場で、「フォトレジストの開発・生産のために、これから韓国内の主な供給先と製品の実証テストを進めるなど緊密に協力する計画」であると述べた。これを受けて産業通商資源部のソン長官は「政府は核心材料や部品、設備に関する技術競争力の確保と供給先の多様化を今後も継続して推進する」と返答した。ソン長官は、米国の半導体メーカーや自動車メーカー、再生エネルギー企業、ベンチャーキャピタルなどを招待して韓国政府の戦略や外国人投資向け支援策を解説するなど、かねて熱心に営業をかけてきた。

 韓国のサムスン電子(Samsung Electronics)とSKハイニックス(SK Hynix)は、輸出管理厳格化の前までフォトレジストの9割を日本企業から輸入していた。そのため、輸出管理厳格化が始まってから代替調達先を見つけるのに苦労した。デュポンの工場誘致は、日本企業以外の調達先を確保して半導体製造を問題なく継続させようと走り回った韓国政府の努力の結果でもあることから、韓国内で高く評価されている。日本では「韓国向け輸出管理厳格化を一部緩和した」との報道もあるが、韓国企業の立場からすると、不確実性を減らすために今後も日本企業以外の調達先を見つけるしかない状況は続いている。

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