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 目標管理、キャリアシートなどの人事提出書類から推察する方法もありますが、ストーリーテリングならば「どのような体験」を「誰と共有」し、それが「今の人格にどんな影響を与えているか」を理解できます。マネジャーにとっても共感できる部分があれば、ベテラン部下への理解はさらに進むでしょう。ストーリーは記憶に残りやすいという利点もあります。何より、個人的なことをゆっくり話し合う時間を設けることで「お互い分かり合った関係」がつくられ、なんとなくお互いの考えを理解できるようになると言われています。

 今時の職場では雑談がずいぶん減り、ハラスメントへの恐れから部下にどのように声をかけてよいか悩んでいるマネジャーがたくさんいます。そんな状況下で「部下理解」をしっかりすることは至難の業です。ですからストーリーテリングで部下の話を聞き、まずは「なんとなく分かり合った状態」を目指してみてはいかがでしょうか。

 なお、自分史を語る時間は20分ほどが妥当でしょう。筆者はベテラン向けワークショップで、自分史を語る時間を設けることがありますが、しゃべり出して止まらない人が出てきます。30年も働いているわけですから、40分、50分と話し続ける人が続出します。「足りない部分は休憩時間に話してください」といつもお願いしているほどです。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。