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 重機の自動化や施工管理の効率化などに力を入れる鹿島。研究開発では、建設現場の生産性向上を最重要課題に掲げつつ、新たなサービスの開発にも注力する。ゼネコンは「建てた後」にどんな価値を提供できるのか。同社技術研究所の福田孝晴所長が語った(インタビューは2019年8月に実施)。

鹿島技術研究所長の福田孝晴常務執行役員(写真:日経アーキテクチュア)
鹿島技術研究所長の福田孝晴常務執行役員(写真:日経アーキテクチュア)
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2018年~20年度の中期経営計画では、R&D(研究開発)に合計500億円を投資すると表明しています。

 ええ。ただ、他社さんも「5年間で1000億円投資します」などと発表されていますよね。例えば清水建設さんなどは、500億円をかけて新たに技術研究所を整備するそうですし。やはり体力があるうちに、将来に備えようということでしょう。当社も同じです。

研究開発の重点テーマを教えてください。

 とにかく1番の重点課題は建設現場の生産性向上です。建設業界の担い手不足を、生産性を高めて補っていく。建築分野では18年に「鹿島スマート生産ビジョン」を公表し、進むべき方向性を明らかにしました。「作業の半分はロボットと、管理の半分は遠隔で、全てのプロセスをデジタルに」という目標を25年までに実現していきます。名古屋市内で当社が手掛けた「名古屋伏見Kスクエア」の現場を舞台に、ロボットなど18項目の技術を検証しました。他の現場にも適用しながらブラッシュアップして、使えるものにしていきます。

 土木分野では「A4CSEL(クワッドアクセル)」と銘打って、まずはダムをターゲットに施工の全自動化を目指しています。具体的には、コマツさんと共同研究をしながら重機の自動化を推し進めています。最初に大分県の大分川ダム、続いて福岡県の小石原川ダムの建設現場で実証を重ね、いよいよ秋田県の成瀬ダムの現場に大々的に適用することになりました。

 成瀬ダムはCSG(Cemented Sand and Gravel:セメントで固めた砂れき)ダムです。これを、23台の重機を自動化して施工します。自動化した重機はダンプトラックとブルドーザー、振動ローラー。基本はこの3種類の重機を1セットに作業を進めるわけですが、現場全体が最適になるように重機を組み合わせながら、同時に施工していかなければなりません。そうした施工計画の部分もしっかりと検討しています。

成瀬ダムの堤体打設工事にクワッドアクセルを適用する(資料:鹿島)
成瀬ダムの堤体打設工事にクワッドアクセルを適用する(資料:鹿島)
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 将来は土木の現場を「工場」のようにしたい。まずはダムから始めたわけですけれども、ダム工事の自動化が達成できれば、当然ながら次は別の工種、例えばトンネルなどにも広げていくつもりです。

 AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボティクスなど様々な先端技術が生まれているなかで、建設技術とこうしたテクノロジーをいかに融合するかが課題です。自社にない部分については、自ら開発するのではなく社外のリソースを使う方がメリットが出やすい。社外のパートナーにとってもメリットがある部分については、オープンに協業をしていく。これを積極的に進めています。

 そもそも建設業界では、大学や企業との共同研究を積極的に実施してきました。先日、調べてみたら、当社の研究テーマのうち6割ぐらいは外部のパートナーと一緒に取り組んでいる。ただ、今の時代は一緒に研究する相手が、これまでと少し変わってきているのです。これまでは、大学の先生や専門のメーカーなどが多かったのですが、今はありとあらゆるところが協業相手になります。

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