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シリコンバレーで「建設テック」の知名度はまだまだ

シリコンバレーには、どのくらいの社員が駐在していますか。

 土木と建築、営業から、合計3人が向こうに駐在しています。実は19年4月に、シリコンバレーの中心地に事務所を構えました。スタンフォード大学も近い場所なので、ものすごく家賃が高い(笑)。ベンチャーの情報を収集するだけでなく、イノベーション人材を育成する拠点にするつもりです。駐在している3人には、ある程度の期間を経たら日本に戻ってきて、今度は「キャッチャー役」として活躍してもらおうと考えています。

 当社では現在、約500億円を投じて、東京都江東区潮見に大規模なイノベーションセンターを建設しています。ここをオープンイノベーションの拠点とし、シリコンバレーの事務所と連携しながら研究開発を加速させていくつもりです。

シリコンバレーで「建設テック」の知名度は高まっていますか。

 まだまだ、盛り上がりはいまひとつですね。当社は企業のオープンイノベーションを支援する米プラグ・アンド・プレイ(Plug and Play、PnP)とも契約していますので、彼らに協力を仰ぎながら建設テックを広めていこうと努力しています。同じくPnPと契約している竹中工務店さんや鹿島さんとも共同でイベントを開催しました。

シリコンバレーに進出している大手建設会社の動き(資料:日経アーキテクチュア)
シリコンバレーに進出している大手建設会社の動き(資料:日経アーキテクチュア)
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欧州などの大手建設会社は、最新テクノロジーの導入に積極的ですか。

 僕はあまり欧州の大手建設会社との付き合いはありませんが、今のところ「建設テック」を掲げて盛んに取り組んでいるのは、日本の建設会社ぐらいではないでしょうか。彼らはエンジニアリングに特化している面が大きいですから、技術開発のためにシリコンバレーに出てきて積極的に動いているという話はほとんど聞きません。

 日本の建設会社と海外の建設会社は、かなり業態が異なります。この点を米国のVCやベンチャーに理解してもらうのには苦労しました。日本の建設会社は、ただ建物やインフラをつくるだけでなく、調査や設計から完成後のメンテナンスまで手掛けますし、そのための研究開発にも力を入れています。素材そのものからスマートシティーまで幅広く関心を持っていることを伝えないと、なかなかこちらが望む技術やベンチャーを紹介してもらえません。

ベンチャー投資やオープンイノベーションに対する社員の反応はどうでしょう。

 なかなか理解されにくい部分があるとは思いますが、徐々に社内に浸透してきました。シリコンバレーに行った価値は十分にあると自負しています。