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 米シリコンバレーの拠点で、ベンチャー企業などとのオープンイノベーション(社外の技術やアイデアを取り入れてイノベーションを生み出す手法)に力を入れる大林組。スタンフォード大学の人脈や、建設分野を専門とする現地のベンチャー・キャピタル(VC)などを通じて地歩を固めてきた。インタビューの前編に続き、研究開発を統括する梶田直揮技術本部長とオープンイノベーションの旗振り役であるグループ経営戦略室の堀井環・経営基盤イノベーション推進部長に、成果と課題を聞く。

左が大林組で技術本部長を務める梶田直揮常務。右が同社グループ経営戦略室の堀井環・経営基盤イノベーション推進部長(写真:日経アーキテクチュア)
左が大林組で技術本部長を務める梶田直揮常務。右が同社グループ経営戦略室の堀井環・経営基盤イノベーション推進部長(写真:日経アーキテクチュア)
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大林組では2017年ごろから、シリコンバレーでのオープンイノベーションに力を入れ始めたそうですね。現地に設けた「シリコンバレー・ベンチャーズ&ラボラトリ」には、どのくらいの社員が駐在していますか?

堀井 駐在しているのは2人。1人は技術研究所のメンバー、もう1人は北米での経験が長い事務の担当者です。このほか、社内で技術開発をやりたい人が、その都度、シリコンバレーに行くようにしています。向こうで先端技術を持つ研究者や技術者と膝を突き合わせて話をするのは、すごく刺激になる。

 米国の研究者やベンチャー企業の技術者と議論を交わしていると、自分がいかに狭い範囲で物事を考えていたか、気付かされます。当社がSRIインターナショナルと開発している配筋検査システムにしても、「このステップはそもそも要らないんじゃないか」「別の検査にも使えるのでは」といった意見が次々に出てくる。発想を広げられることが、シリコンバレーで活動するメリットの1つだと思います。
(編集部注:SRIインターナショナルは世界最大規模の非営利研究機関)

 品川の本社を離れることの効果もあります。日本にいると、どうしても普段の業務に引っ張られますからね。多くの社員は兼務というかたちで開発に携わっていますから、1週間ほどのまとまった期間を確保し、普段の業務から離れて開発に専念できるのは大きい。企業を訪問して実際に製品やサービスを見たり、テストをしたり。

 シリコンバレーでは協業相手を探すために、ベンチャーを集めて「大林チャレンジ」と呼ぶコンテストを1年に1回、開催しています。第1回は17年10月。13チームにプレゼンテーションをしてもらいました。当時はConstruction-Tech(建設テック)に関するイベントを見かけませんでしたから、我々が第1号だと自負しています。

大林組のシリコンバレー・ベンチャーズ&ラボラトリ(写真:日経コンストラクション)
大林組のシリコンバレー・ベンチャーズ&ラボラトリ(写真:日経コンストラクション)
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梶田 米国のラボを見ていると、大学やベンチャーからどんどん売り込みが来るんですよ。研究開発をオープンにやっていると、短期的にも、長期的にも色々なアイデアが持ち込まれる。これが自分たちの仕事に生かせると分かってきた。

 社長からはグループの力を活用するよう言われています。米国のベンチャーと実証実験をする際は、米国子会社の現場でやるほうが早い。

堀井 子会社のウェブコーやクレマーは、スピード感があります。良さそうな技術だと思ったら、「じゃあ明日から試しにやってみるよ」と言ってくれる。

大林組のシリコンバレー・ベンチャーズ&ラボラトリに設けた配筋検査の実験設備(写真:日経コンストラクション)
大林組のシリコンバレー・ベンチャーズ&ラボラトリに設けた配筋検査の実験設備(写真:日経コンストラクション)
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