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ここ数年で「動かないコンピュータ」事例の傾向は変わっているのか。それを知るため、直近2年間の事例78件を分析した。その結果、「自治体」「決済」に絡む障害が増えていると分かった。

 直近2年間のシステムトラブル78件の中で一番多かったのは、設定や作業ミスや漏れを指す「人的ミス」によるシステムトラブルだった。78件中23件(約30%)である。システムが高度化しても設定などは人間が介するだけに、人的ミスはなかなかゼロにはならない。

図 直近2年間の原因ごとのトラブル分類(n=78)
図 直近2年間の原因ごとのトラブル分類(n=78)
人的ミスが最も多い
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 特にこの人的ミスが多かったのが、2019年5月1日に施行された「令和」への改元トラブルだ。日経コンピュータ2019年5月16日の第990号では「『1989年5月7日』や『平成3元年』令和対応トラブル、日本全国で相次ぐ」と報じている。

 日経コンピュータの取材によって改元トラブル13件が判明した。その1つが横浜銀行と北陸銀行、北海道銀行の地銀3行が発生させたシステム障害だった。

 コンビニエンスストアのATMを使って一部の銀行口座からお金を振り込む際、振込予約日が紙の利用明細に「1989年5月7日」と誤って表示される障害が2019年4月26日から30日にかけて発生した。

 原因は4月26日時点で勘定系システムとコンビニATMをつなぐ中継(ゲートウエイ)システムの改元対応ができていなかったためだった。

自治体で障害が増加か

 人的ミスに次いでトラブルの原因として多かったのが、プログラムの論理的な誤りによって生じるソフトの不具合、つまり「バグ」である。78件中18件、23.1%を占めた。

 システム刷新時のバグで動画サービス「Hulu」が見られなくなったHJホールディングス(2017年7月20日の第943号)、「e発送サービス」が開始直後にダウンし、ローソンで送り状を2カ月印刷できなかった日本郵便(2017年8月31日第946号)などが挙げられる。

 バグ18件を詳細にみると、箇所や事象はバラバラである一方、トラブルを発生させた主体に目を移すと1つの傾向が見えてくる。自治体など官公庁のトラブルが突出して多いのだ。

 直近では2019年7月11日第994号で掲載した大阪市の「住民票発行が21時間停止、8000件影響 Oracle DBの非公開バグが原因」が発生した。このほか全体では18件中11件が官公庁トラブルだった。冒頭に紹介した人的ミスの23件も、そのうち13件が官公庁だった。