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 前回、変身ライナーのもうけが少ないことを述べた。理由は座席が少ないこと、そのまた理由は4扉である(図1)。朝のラッシュ時に走るために4扉は必須条件だと考えたのだろう。今回はもっともうかる代案を探る。「変身」なんて要らず、時間帯によって働く場所を変える「ノマド」はいかがか。

第1回はこちら

図1 京王ライナー用の「5000系」
図1 京王ライナー用の「5000系」
外から見れば4扉、普通の通勤車だ。(著者撮影)
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 どうすればよいか。第1回にさらっと書いてしまったが、「朝のラッシュ時は増発の余地がない」という点を疑うことから始めよう。

前言撤回、増発も増結もできます

 全線複線で、他社線への乗り入れ、支線の分岐がない単純な場合を想定する。輸送需要は当然だが都心から離れるにつれて小さくなる(図2の線A)。そのため途中駅で折り返す列車を設定して運転本数を減らし、需要に合わせる(図2の面B)。ある程度距離の長い路線の場合、それだけでは末端側の運転頻度が小さくなり過ぎるので、中間にある末端側折り返し駅から末端駅に向けて短い編成で折り返し運転をする(図2の面C)。この「末端側折り返し」がキモである。

図2 都心からの距離と輸送需要、運転本数の関係
図2 都心からの距離と輸送需要、運転本数の関係
線Aが需要、面Bが途中駅折り返しをする場合の本数、面Cが末端側折り返し、線Dは複線で運転できる本数、面Eの部分は増発する余地がある。線Dは“トッピング”によってわずかに右下がりに傾くことがある。(日経クロステック作成)
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 先細りの輸送量に合わせるために、途中の駅で編成の一部を切り離すという選択肢もある。そのバリエーションとして、編成の一部を支線に乗り入れることもある。こうすると先頭車が1編成に4両必要になる。最近は衝突したときの被害を抑えるために先頭部を強化することが多い。先頭車の定員が少なく、コストが上がる。また、TIMS(列車情報管理システム)1など運転関係の装置が増え、先頭車のコストはさらに上がる。今は切り離しより末端側折り返しを選ぶ会社が多い。

1 JR東日本の呼び方。各社それぞれの呼び方がある。

 複線であれば、走れる本数はどこでもほぼ同じである(図2の線D)。ホームの数、閉塞区間の切り方、追い越し駅の配置、変電所の能力などの“トッピング”で差を付けられる程度だ。単線なら何本/日、複線なら何本/日、複々線なら何本/日という飛び飛びの値しか取れない2

2 単線は交換可能な駅の間隔が支配的なので、少し幅がある。

 ということは全線が複線ならば第1の折り返し駅から先には増発の余地があるわけだ(図2の面E)。

 末端側折り返し駅の先には増結の余地もある。末端側は運転頻度が減るので最速列車でも各駅に止めることが多い。その場合ホームの長さは都心側と同じだ。一方、末端側折り返し列車の編成は短い。ホームの工事をせずに都心側と同じ両数にするだけで増結できる。

 ホームが短ければ伸ばせばよい。末端側の地価は都心側より安い。

 申しわけございません。前言を翻す。「朝のラッシュ時は増発の余地がない」のはウソではないのだが、あくまでも都心駅から第一の折り返し駅までの間だけでした。それ以外は余地がある。末端側折り返し列車は増結の余地もある。それをどう生かすか考えよう。