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 第2回で「ノマドライナー」という運転方法を提案した。今回はそのための車両を提案する。扉の数を減らすのと引き換えに座席の数を増やす。2階建て車を組み合わせれば、1席当たりのコストを変身ライナーの約6割に下げられる。

前回はこちら

 「ノマドライナー」用車両は1両当たり2扉とする。ホームドアの時代だから扉は両端ではなく4扉車の1番目と4番目の扉の位置に合わせる1。標準的な4扉車は扉と扉の間が3520mm、扉の幅が1300mmである。1番目の扉の後端から4番目の扉の前端までは3520mm×3カ所+1300mm×2カ所=13160mmになる。

1 扉を1番目、4番目としたのは2階建てを考慮したもの。2階建てにしない場合は1番目、3番目か2番目、4番目にすれば通路が短くなり、短い時間で乗り降りできる。

 寸法や座席数を試算するためJR東日本の2階建てグリーン車「サロE233」(以下サロ)をお手本にする2。サロの座席ピッチは970mm、端の座席の中心から壁までは680mm。リクライニング角度は20度だ。ノマドライナーはグリーン車の顔を立てて僅かに詰め、座席ピッチを950mm、座席中心から壁までを650mmとする。

2 サロE232も基本は同じ。

 こうすると扉の間に14列並ぶ(図1)。変身ライナーの9列から5列増える。

図1 ノマドライナー用の平屋電動車
図1 ノマドライナー用の平屋電動車
扉は4扉車の両端の扉と同じ位置にあり、通常のホームドアが使える。ロングシートの背後が空いているのはリクライニングのため。窓の上のブロックはガラス風に処理する(イラスト:いのうえ・こーいち)。
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 座席はリクライニング、角度はサロより浅くする。座席幅もサロより狭くして通路幅を確保しながら、変身ライナーよりは広くする。変身しないためにできた寸法の余裕を生かし、厚めの肘掛けにテーブルを内蔵させる3。ドリンクホルダーより格上げである。ノートパソコンを開けるので、下戸の方にも満足いただける。車内テレワークをすれば、通勤時間だけ早く家に帰れる。

3 灰皿ありが標準だった時代より設計は楽だろう。

 扉の外側に1870mmの空間がある。そこそこの立ち席が必要だろうからを今の変身ライナーと同じ3席分のロングシートを置く。ロングシートもリクライニングさせ、テーブルを付ける。

 これで1両の定員は14列×4席+3席×4カ所=68席になる。

 14列の最前列の席とロングシートは乗降客と交錯するので居心地が悪いと感じる人がいるだろう。戸袋があるため窓との位置関係も悪い。「満席直前、最後に売る席」にする。ここは前の席がないため足元の空間が広い。足の長い人は指名買いするだろう。こうすれば座席ピッチが短いことへの不満は出なくなる。

 これが実現する頃には新型コロナ問題が収まっていると信じたいが、次はあると考えた方がよい。座席と座席の間に透明なカーテンを垂らすための金具を準備する。個別換気のダクトも用意する。