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 2019年9月18日、19日公開のグリーン車、20年6月4日、11日、18日公開の通勤ライナー車。筆者の記事には指定席がよく出てくる。指定席はMaaS(Mobility as a Service)時代の必需品だと考えるからだ。

 MaaSの主な利用者は「ネット予約ネーティブ」「ネット予約強者」の世代だ。飲食店、カラオケ、ホテル、医者、歯医者、理容美容、ジム、エステ。すべてネット予約してから行動する。アポなしなんて無理無理。生活習慣なので、空いていても関係ない。電車だけ「座れるかどうかは乗るまで分からない」のでは不安で使えない。

 全列車に指定席を連結することをお勧めする。まず1両でいい。グリーン車の時にも書いたが、急ぐことはない。今やると自前の予約システムに無駄な投資をするハメになる。MaaS待ちでよい。

 料金は弾力的に考える。時間帯や区間によっては無料、交通弱者は当然無料だ。その代わり、ラッシュ時など奪い合いになる場合は、しっかりいただく1

1 料金は運賃より規制が緩い。それでも役所とすり合わせる必要はあるだろう。

問題は人件費

 指定席を増やそうとすると必ず出てくる反論が「人件費」である。確かに平成の指定席は車内改札、ホームでの指定券チェックなど、料金を徴収するために人件費をかけていた。「アテンダント」「パーサー」と呼ばれる人たちはサービス要員ではあるが、監視員も兼ねている。

 交通コンサルタントである阿部等氏の提案が1つの解決策になる2。座席を1席ずつ分かれた跳ね上げ式とし、普段は跳ね上げて座れないようにする。座りたい乗客がICカードをタッチする3と座席が出てくる。ロングシートはこれで決まりだろう。「立っても座っても支払額が同じ」という不公平がなくなる。普段の立ち席スペースも広くなる。MaaSで予約できれば完璧だ。

2 阿部等『満員電車がなくなる日』,p.116,角川SSコミュニケーションズ.
3 非接触なので正しくは「かざす」だが、検知範囲が狭いため鉄道会社はこう表現する。

 クロスシートは少し事情が違う。回転機構やリクライニング機構と跳ね上げ機構の両立が難しいし、立ち席スペースの利点もない。クロスシートはロングシートよりも1両の座席数が多いため、各席の設備を最小限にしたい。各席に読み取りアンテナのある「グリーン車Suica」より簡単にするのが目標だ(図1)。

図1 JR東日本のグリーン車「サロE230」の網棚下
図1 JR東日本のグリーン車「サロE230」の網棚下
支払いの済んだICカードをSuicaマークにタッチしてLEDの色を変える(筆者撮影)
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 ただ、利用するたびに物を動かして“実力を行使する”と高くつく。“口先介入”で済ませたい。