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 多くの日本企業では、本格的なデジタルトランスフォーメーション(DX)はまだこれからという状況だ。少しでも早く実証実験のレベルを脱し、実業務への適用を始めることが求められる。こうしたなか、オラクルは、日本企業のDXを支援するため、2019年5月に次世代データセンターの東京リージョンを新たに開設した。年内には、大阪リージョンもオープンする予定だ。

第2世代のクラウドを実現する新データセンターを国内に設置

 最新のデータセンターを通じて、日本市場では「エンタープライズクラウド」と「イノベーションクラウド」の2分野にフォーカスしたクラウド戦略を推進していく。

 1つ目の「エンタープライズクラウド」は基幹システムのオンプレミスからクラウドへの移行を支援するもの。ある調査によれば、ミッションクリティカルな基幹業務を運用する人の84%はいまだにオンプレミスで稼働しているという。一方で、数年の間にクラウドへ移行したいと考えるお客様も多い。

 次世代データセンターでは「Oracle Cloud Infrastructure」(以下、OCI)と呼ぶクラウドサービスを基盤として提供する。OCIは、IaaS/PaaS/SaaS/DaaSのプラットフォームとなる第2世代のクラウドだ。従来提供されていた第一世代のクラウドは、従量課金制で小規模から運用できる柔軟性を特長としていたが、運用規模を拡大した場合のセキュリティや安定性、コストなどのバランスが課題になっていた。OCIでは、あらゆる企業のデータベース(DB)やアプリケーションに対し、セキュアで高性能かつ高信頼なクラウド環境を適切な価格で提供することを目的に開発した。基幹系をはじめとするミッション・クリティカルな業務アプリケーションを、安心してクラウド上で活用できるようになるだろう。他社サービスに後れを取ることのないよう、新開発拠点の設置やエンジニアの増強も継続している。

 OCIは機能を幅広く強化した。ネットワークについては、高性能の物理環境を構築している。一般にクラウド事業者のSLAはアップタイム(月間稼働率)の保証にとどまるケースが多いが、当社ではネットワークのパフォーマンスについてもSLAを提示している。オンプレミスで提供してきた「Oracle Exadata」や「Real Application Clusters」もクラウド上での利用が可能だ。セキュリティにも、データセンター内のエッジも含めたエンド・ツー・エンドで高い水準を確保している。

 価格競争力も高い。コンピュート、ストレージ、ネットワークのいずれの分野でも、他社と比較して6割から9割低い料金を実現している。なかでもネットワークは10TB/月までのデータ転送が無償で、映像配信やデジタルサイネージなどの事業を手がけるお客様から好評を博している。

迅速なデータ活用の実現により新たなイノベーション創出を支援

 2つ目の「イノベーションクラウド」では従来以上のレベルでのデータ活用を支援する。先ごろ、経済産業省が発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」は、迅速なデータ活用こそがDXを成功に導くカギになると指摘している。東京リージョンでは、自律的データベースやクラウドネイティブな開発環境も提供し、新たなイノベーション創出に向けた取り組みを支援する。

 中核を担うサービスが「Oracle Autonomous Database」(以下、ADB)だ。ADBの特徴は、AI/機械学習のテクノロジーを利用して、社内外に存在する企業のデータ資産の価値を増大させる点にある。DBの運用には、チューニングやパッチ適用といった付加価値を生まない作業がつきまといがちだ。単に既存のDBをクラウドへ移行しても、運用工数が変わらずパフォーマンスが下がる恐れもある。ADBでは、「Oracle Database」の自動化機能を実装し、運用にかかる工数とコストを削減。AI/機械学習の機能を盛り込んだので、アプリケーションに新たな価値も提供できる。

 これまでと同じOracle Databaseなので、オンプレミス環境で動かしているデータをそのまま移行するだけで、パフォーマンスを向上できる。ピーク時のリソースを考慮する必要もなくなるだろう。

DB周りの作業を簡素化 誰もが手軽に分析できる環境を実現

 既にADB活用し、先進的なサービスを提供している企業も現れてきた。例えばウイングアーク1stの情報活動ダッシュボード「MotionBoard」は、ADBの機械学習機能と連携し、高度な分析が実行できる。

 従来のデータサイエンティストは、大量のデータを機械学習環境にコピーしたり、分析結果をまたDBに反映させたりする作業に多くの労力を費やしていた。ADB上でそのまま機械学習を実行させれば、こうした作業の大幅な省力化、効率化の実現が可能だ。誰もが手軽に分析できる環境を手にできる。

 東京リージョンでは、これまでに紹介したOCI、ADB、Oracle Exadataに加え、「HPC/GPC」や「Oracle Container Engine for Kubernetes」などのサービスも展開している。マルチクラウド時代を見据えて、先ごろマイクロソフトとのパートナーシップも締結。Microsoft Azureとのシームレスな接続も行えるようになった。まずは北米リージョンからスタートするが、日本を含むほかのリージョンでも順次展開していく。

本記事は2019年7月10日~12日に開催された「IT Japan 2019」のリポートです。