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 デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増えてきたが、成功させるのは容易ではない。2019年6月に調査会社のIDCとワークデイが共同で実施した調査では、アジア太平洋地域の経営幹部層の60%が「DXの進捗やプロジェクトの成果に課題がある」と回答している。

 原因として、43%の企業が「企業内での部門間の隔たりが障害」と答えた。DXに向けた取り組みでは、最新のテクノロジーばかりに目が行きがちだが、DXを推進できる人財の再配置や組織編成などを行い、「隔たり」を解消し、意識を改革することが重要な成功要因の1つとなっている。

人事のDXではすべての従業員を「できる化」する環境が重要に

 イノベーションを起こせる「DX人財」を育成するとともに、変革に向けたモチベーションを持たせるためには、老朽化した人事システムの刷新が必要だ。

 既に北米や欧州では、企業が全社横断でHRテクノロジーを活用し、よりよい経営や競争力の強化に役立てる動きが広がりつつあるが、日本はまだ立ち遅れている。このような話をすると、タレントマネジメントを思い起こす方もいるかもしれないが、違う。

 少なくない日本企業が導入を検討しているタレントマネジメントは一握りの幹部候補生を対象としたものだ。しかし、欧米の先進企業では、タレントマネジメントの旬は過ぎ、「ピープルイネーブルメント」の実現を重視している。

 ピープルイネーブルメントとは、タレントマネジメントのように限られた従業員に対するのではなく、すべての従業員のエンゲージメントとエンパワーメントを高め、より有能な存在に成長させようという考え方。一人ひとりの能力を最大限に引き出して、すべての従業員を「できる化」する取り組みといえる。これを具現化したのが、我々の提供する「Workday ヒューマン キャピタル マネジメント(HCM)」である。

 Workday HCMは、人事と財務に関わる情報を単一のシステムで管理するクラウドサービスで、スマートフォンがあれば利用できる。採用から退職まで、人財に関連するすべての情報を管理し、経営に生かす統合ソリューションだ。誰がどのような役割で、どういう責任と権限を持ち、どんな仕事をしてどのような評価を受けてきたのかという履歴を一元的に管理できるのが特長である。

 サービスの基盤には、「人財中心のエンタープライズソフトウエア」という新しい考え方がある。この考えが評価され、業種や規模を問わず幅広いお客様に採用いただいている。2005年の創業から現在までにグローバルで約2700社、「Fortune 50」に含まれる企業の50%以上が、ワークデイを選んだ。2013年に設立した日本法人でも約600社の導入実績があり、2019年の調査では顧客満足度が98%に達する。

住友化学やニトリがWorkdayで人財管理基盤を構築

 Workday HCMの導入事例をいくつか紹介しよう。1つ目が、新しい人財マネジメントプラットフォームとして、2019年にWorkday HCMを導入した住友化学の例だ。

 同社は、2019年度からスタートさせた中期経営計画で「デジタル革新による生産性の向上」と「持続的成長を支える人財の確保と育成・活用」を含む6つの基本方針を定めた。Workday HCMを導入した狙いは、人財活用およびマネジメントの最適化である。

 従業員の業務経歴や研修受講歴などを従来、複数のシステムで管理していた同社は、Workday HCMに統合し、マネジャー層に対して従業員情報を可視化することで、これまで以上に適切で効率的な人財マネジメントを可能にする狙いだ。

 2つ目は、人財育成を目的として2019年にWorkday HCMを導入したニトリだ。同社は、2032年のビジョンとして「3000店舗、売上高3兆円」という目標を掲げる。目標の実現に向け、人財育成や従業員へのエンゲージメントなどの人財投資を、ビジネス成長のための重要戦略と位置付けている。

 同社では、会社の成長に伴って、より多くの優秀な新卒人財が入社するようになってきたという。こうした人財に対する成長の場の提供が必要だと考え、新たに人財育成の基盤を構築した。具体的にはWorkday HCMの導入とともに、グロービスの「グロービス・ラーニング・プラットフォーム」と提携。従業員の経歴やスキルなど、人事に関する情報の一元管理と、一人ひとりのキャリア志向に沿った学習プランと学習カリキュラムを提供している。

働く意識の改革がDXの取り組みを成功に導く

 両社に限らず、Workday HCMを導入するほとんどの企業が、人事改革を重要な経営戦略に位置付けている。DXの推進では人事改革が重要な役割を担う。イノベーションを起こすのはシステムではなくヒトだ。優秀な人財が育たなければ、イノベーションは起こらない。

 イノベーションを起こすために重要なのは、働き方そのものではなく、従業員一人ひとりの働く意識の改革だ。改革に成功した企業は持続的な成長が可能になる。DXに取り組む際には、人財が成否のカギを握っているということを常に意識することが大切だ。

 ワークデイは多くの日本企業が経営と人財活性の双方の観点から成功できるよう今後ともサポートさせていただきたいと願っている。何かお力になれることがあれば遠慮なく声をかけていただきたい所存である。

本記事は2019年7月10日~12日に開催された「IT Japan 2019」のリポートです。