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 「家の鍵を持たずに外出したが、玄関に近づけば自動でドアの鍵が開くから心配ない」「帰宅するタイミングに合わせて照明がつき、エアコンも動き出してちょうどよい室温になっている。お気に入りの音楽も流れる」「空腹になったら『いつものやつを出前で』とスピーカーに話しかけるだけ」――。

 IoT(インターネット・オブ・シングズ)やAI(人工知能)の技術を使って家の中での生活を快適にする「スマートホーム」。スマートホーム用デバイス「Nature Remoシリーズ」を開発・販売するNatureの塩出晴海社長は、「販売個数は年々2倍に増えており、デバイスが浸透してきた」と手応えを語る。

 調査会社のIDC Japanによると、スマートホーム用デバイスの出荷台数は2023年に世界で13億9000万台、2019年から5年間の年間平均成長率は14.4%を見込み、普及の一途をたどっている。この背景には「競争の激化に伴う製品価格の下落のほか、コスト節約や省エネに対する消費者の意識向上などが考えられる」(同社)。

 最近では市販のスマートホーム用デバイスの種類が増え、数千円から入手できる。冒頭に挙げた例も決して大げさではなく、実際にこれらスマートホーム用デバイスを購入して自宅で実現できるようになっている。

便利さと同時に危うさも浮き彫りに

 新型コロナウイルス対策による在宅勤務の拡大などで家にいる時間が増える中、快適さをもたらすスマートホーム用デバイスは心強い存在だ。その一方、便利さと表裏一体で、危うさも明らかになってきた。ここ1年ほどでスマートホーム用デバイスにまつわるトラブルが続発しているからだ。

2020年以降に発生したスマートホーム用デバイスの主なトラブル
時期製品名事象や原因
2021年2月「Google Home」など米グーグル製のスマートスピーカー 音声アシスタントサービス「Googleアシスタント」に不具合が発生。音声で家電などがうまく利用できなくなった。理由は不明
2020年12月「Google Home」など米グーグルのサービス全般で障害が発生し、同社製スマートスピーカーなどが使えなくなった。障害はストレージの容量割り当ての問題で認証サーバーが停止したため
2020年12月スマートロック「Qrio Lock」Qrio Lockアプリがアクセスするサーバーにエラーが発生。ドアなどのリモート施錠や解錠ができなくなった
2020年11月スマートリモコン「Nature Remo」家電の電気を消すなどの操作ができなくなった。原因は米アマゾン・ウェブ・サービスが起こした障害の影響
2020年11月家電をスマート化するデバイス「SwitchBot」シリーズ同上
2020年4月調理家電ヘルシオやエアコンなどのシャープ製IoT家電シャープ製マスクのインターネット販売サイトにアクセスが集中し、サイトがダウン。同じ認証基盤で認証を実施しIoT家電を操作する「COCORO AIR」などのサービスに影響した
2020年1月スマートリモコン「LS Mini」Live Smart(リブスマート)製のスマートリモコンが利用しづらくなった。原因はサービスを提供しているサーバーの高負荷