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 新型コロナウイルス感染拡大防止策としてテレワークが普及して2年余りたった。ただ「自宅で勤務している」「週に1日以上のテレワークを実施している」などビジネスパーソンのテレワーク実施状況を調べると、「都市部の企業と地方の企業」「大企業と中小企業」のそれぞれで格差が生じている。背景にあるのは経営者の危機感の欠如と、「情報通信業以外ではテレワークは無理」といった思い込みだ。

 テレワーク導入は業務のデジタル化や生産性向上への第一歩。この「テレワーク格差」を放置すれば、日本の構造的な格差問題がさらに悪化する恐れがある。

 「地方企業と都市部の企業、中小企業と大企業、非正規雇用者と正社員のそれぞれで比べると、いずれも後者のテレワーク実施率が高い。端的に言えば、テレワークは以前から存在していた日本経済における格差を、拡大する方向に作用してしまった」。パーソル総合研究所の小林祐児上席主任研究員はこう指摘する。

 同社が2022年3月に発表した「第六回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」(調査時期は2022年2月)によると、企業の正社員から得た回答で導き出した地域別のテレワーク実施率は、「関東」で40.1%だった。これに対して、「北海道・東北」「東海・北陸・甲信越」「中国・四国・九州」はいずれも20%未満だった。

 「大企業と中小企業」の格差も縮まっていない。同調査によると、従業員が1万人以上の企業におけるテレワーク実施率は46.9%だったのに対して、従業員が10~100人未満の企業では15.4%にとどまった。パーソル総合研究所は2020年3月から6回の調査を実施してきたが、2020年4月の2回目の調査以降、企業規模の大きい企業ほどテレワーク実施率が高く、実施率の格差は縮まらないまま推移している。

パーソル総合研究所が2020年3月から6回実施してきた調査における企業規模別のテレワーク実施率の推移
パーソル総合研究所が2020年3月から6回実施してきた調査における企業規模別のテレワーク実施率の推移
(出所:パーソル総合研究所)
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 他の調査でも同様の傾向が見られる。例えば日本生産性本部が2020年5月から四半期ごとに実施してきた「働く人の意識調査」では「テレワーク実施率は大企業で高く、中小企業で低い。正社員・正職員で高く、非正規雇用者で低いという状態が続いている」(日本生産性本部の柿岡明生産性総合研究センター上席研究員)。

 柿岡上席研究員は従業員規模による格差を特に問題視している。「日本の労働者の7割が中小企業に勤めている。中小企業でテレワークが進まない限り、テレワーク実施率の飛躍的な向上は望めない」(同)。

実施率の格差は企業力の格差

 テレワーク実施率に関する格差はより大きな問題をはらむ。テレワークの普及推進や導入支援に携わるパソナ リンクワークスタイル推進統括の湯田健一郎氏は「テレワークの実施率の地域差は、働き方改革や事業強化の点でもかなりの地域差が生じていることを意味している。(放置すれば)企業競争力の面で格差が広がってしまう」と危惧する。

 企業競争力の格差は、日本生産性本部が2022年4月に発表した「第9回『働く人の意識調査』」で見えてきている。最近1年間における職場での生産性向上に関する取り組みの実施率は、テレワークに取り組むテレワーカーのほうが、非テレワーカーよりも20ポイント以上高かった。20ポイント以上高かった生産性向上に関する取り組みには「業務の進め方の効率化」や「業務の改廃」、「商品・サービスの改善」などがある。

日本生産性本部が実施した、職場での生産性向上に関する取り組みの実施率についての調査結果
日本生産性本部が実施した、職場での生産性向上に関する取り組みの実施率についての調査結果
(出所:日本生産性本部)
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 この結果について日本生産性本部の柿岡上席研究員は「テレワークの導入が生産性向上に取り組むきっかけになっている」とみる。「中小企業の生産性の低さが日本経済の足かせになっているとの指摘があるなか、中小企業がテレワークのような働き方の改革に挑戦しないと、(大企業との)生産性の格差が今以上に広がる恐れがある」と続ける。

テレワーク実施率に関する課題と影響
テレワーク実施率に関する課題と影響
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