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ネット広告の仕組みを悪用

 ネット広告の仕組みは地上波テレビなどと比べて分かりにくい。ネット広告の約8割を占める運用型広告の場合、消費者があるWebサイトを訪れると、媒体社から広告のリクエストが入る。そのリクエストに対し、広告主側が入札をかけ、配信する広告が決まるという流れだ。

 こうした一連の取引を広告主向けのDSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)や媒体社向けのSSP(サプライ・サイド・プラットフォーム)といった仲介システムを介して、リアルタイムに行う。広告主にとっては、消費者の趣味・嗜好に合わせて広告を出し分けられる半面、どんなWebサイトに広告を配信したのか確認しづらく、不正が横行する一因になっていた。

 不正の種類は大きく分けて3つある。1つ目が「アドフラウド」で、ボットを使って広告に大量にアクセスし、クリック数やインプレッション数を水増しする行為がそうだ。不適切なWebサイトの運営者がドメインを偽って健全なサイトになりすまし、広告収益をだまし取る「ドメインスプーフィング」と呼ばれる手口もある。

 2つ目が不適切なWebサイトに広告を配信し、広告主のブランド価値を毀損する「ブランドセーフティー」に関わる不正だ。成人向けサイトに広告を掲載したり、飲酒運転による事故を伝える記事の脇にビール会社の広告を表示したりする行為がそれに該当する。

 最後がビューアビリティーに関わる不正で、消費者が配信した広告を見られない状態を指す。Webサイトを何度もスクロールしないとたどり着けない位置に広告枠を置いても、消費者は広告を見る前にサイトから離脱してしまう。消費者が視認できないほど広告枠が小さかったり、広告を何重にも重ね合わせたりしているケースもある。

ネット広告不正の代表例
名称概要
アドフラウドボットなどがインプレッション数やクリック数を水増しし、広告主から広告収益をだまし取る
ブランドセーフティー広告主のブランド価値を毀損するWebサイトに広告を表示。例えば、飲酒運転による事故を伝える記事の脇にビール会社の広告を掲載
ビューアビリティーWebページをスクロールしないと広告が見られないなど消費者が広告を視認できない