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 2025年度末までに約1700の地方自治体の業務システムを標準準拠システムに移行させる「自治体システム標準化」施策。2022年8月末に標準仕様書が出そろい、いよいよ各ITベンダーが標準準拠システムの開発を本格化させる。ただ、各自治体からは既存システムから標準準拠システムへの移行費用が高額になるのではないかという懸念が出ている。各自治体はこれまで付き合ってきたITベンダーと随意契約を結び、移行作業を進めざるを得ないからだ。

標準準拠システムへの移行は随意契約に

 「これまでシステム更改のたびに(システムの開発や保守運用について)競争入札をしてきたが、標準準拠システムへの移行はこれまで(保守運用を)委託していた事業者と随意契約を結んで進めざるを得ない」。埼玉県戸田市の大山水帆企画財政部次長兼デジタル戦略室長(CDO)はこう話す。

 随意契約しか選べない理由は、ITベンダーの人的リソースが逼迫しており、競争入札をしても、過去に委託した事業者を含めてITベンダーが参加しないからだという。「標準化の目標は『ベンダーロックイン』を回避することだが、実際には新たなベンダーロックインにつながるのではないか」と大山氏は憤る。

 デジタル庁は自治体に対し、住民基本台帳や国民健康保険といった20業務で使う基幹業務システムを2025年度末までに標準準拠システムに移行させるよう求めている。標準準拠システムへの移行により、毎年5000億円以上とされる自治体情報システムの支出について、そのうち保守運用費などを2018年度比で3割削減する目標を掲げる。

 コストを下げられるとする根拠は主に3つある。まず各自治体の業務のやり方に合わせてシステムを改修するといった個別カスタマイズが原則不要になる。次に、各ITベンダーの標準準拠システム同士であればシステム移行がしやすくなるため、「ベンダーロックイン」を避けられる。最後に、システム基盤にはデジタル庁が整備するマルチクラウドの「ガバメントクラウド」を使うため、集約効果によるコスト減を期待できる。

自治体システム標準化の狙い。業務効率化や住民サービスの維持・向上につなげる
自治体システム標準化の狙い。業務効率化や住民サービスの維持・向上につなげる
(出所:総務省の資料を基に日経クロステック作成)
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 標準準拠システムへの移行の流れはこうだ。まず20業務を所管するそれぞれの府省庁が標準仕様書を作成する。冒頭の通り、これは2022年8月末に出そろった。次に、ITベンダーは1年から1年半をかけて標準仕様に準拠した基幹業務アプリケーションなどを開発し、ガバメントクラウド上に構築する。最後に、2023年度から2025年度末までの「集中移行期間」に、全自治体が一斉に業務システムを移行する。

 移行作業の集中によりSEが不足するとの懸念は根強く、取引のない自治体から新規に移行作業を請け負うITベンダーは少ないとみられている。そもそも移行をスムーズに進めたいのであれば既存システムを保守運用するITベンダーに分がある。既存システムをよく知るため、標準準拠システムとの「差」をより早く明確につかめる見込みがあるからだ。

 こうした事情から、戸田市をはじめとして複数の自治体は標準準拠システムへの移行作業について、既存システムを保守運用するITベンダーと随意契約を結ぶことを検討しているわけだ。「標準準拠システムへの移行作業を既存ITベンダーと随意契約して依頼するのは理解できる」と、総務省の自治体システム等標準化検討会の座長などを務める武蔵大学社会学部の庄司昌彦教授も語る。