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 新型コロナウイルス感染症の拡大防止策としてテレワークが普及したのに伴い、出社勤務とテレワークを組み合わせて働く「ハイブリッド勤務」が広がって2年超が経過した。こうした中、ハイブリッド勤務に取り組むビジネスパーソンの間で、新たなストレスが生まれている。働き方改革でテレワークを推進する企業は対策を講じる必要がある。

 東京大学医学系研究科精神保健学分野が2022年5月に発表した調査結果によると、出社勤務とテレワークを組み合わせて働く「ハイブリッド勤務者」がストレスとして多く挙げたのは「出勤時の勤務よりオンオフ(仕事とプライベートの切り替え)がつけにくいことがストレスである」(55.1%)、「在宅勤務をする物理的環境(家、机、椅子など)がないことがストレスである」(52.0%)だった。出社することなく在宅勤務をしている「完全在宅勤務者」に比べてそれぞれ、16.2ポイント、13.1ポイント上回った。

東京大学医学系研究科精神保健学分野の調査で、ハイブリッド勤務者に多くみられたストレスに関する結果
東京大学医学系研究科精神保健学分野の調査で、ハイブリッド勤務者に多くみられたストレスに関する結果
出所:東京大学医学系研究科精神保健学分野の資料を基に日経クロステックがグラフを作成
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 この調査は、2020年3月から実施している、1000人規模の全国の一般労働者を対象にしたオンライン追跡調査「新型コロナウイルス感染症に関わる全国労働者オンライン調査(E-COCO-J)」の一環で、コロナ禍で在宅勤務を経験している労働者が感じるストレスについて調べたものだ。

 この調査を実施したきっかけについて、東京大学大学院医学系研究科の川上憲人特任教授は「いくつかの企業で産業医をしているが、在宅勤務がしにくいのにコロナ禍で出勤させてもらえない、在宅勤務をしているが家の中で居場所がない、といった声を聞くようになった。そこで、日本全体でストレスの実態を探るため調査を実施した」と説明する。調査に当たって、川上特任教授をはじめとする産業医や、産業看護職など調査メンバーが、現場での経験を踏まえて質問項目を設定した。

 川上特任教授はハイブリッド勤務者のほうがこれらのストレスを感じる割合が高かった理由について、「完全在宅勤務者は割と在宅勤務に適応しているものの、ハイブリッド勤務者は必ずしも在宅勤務に慣れていなかったり、在宅と出社が混在した状況での業務管理がしづらかったりするのではないか」とみる。

 このうち、在宅勤務をする物理的環境のなさについては、「部屋が少なく、居間でパソコン作業やWeb会議をすると、配偶者が嫌がってやめるよう言われる」「Web会議をしようとすると、大学生の子供のリモート授業とかち合う」、夫婦共働きでいずれも在宅勤務をしているケースでは、「Web会議をする時間を互いにずらさなければならない」といった課題が実際に起こっているという。

在宅勤務の頻度におけるミスマッチがストレスに

 ハイブリッド勤務者に関する調査結果を、在宅勤務の頻度が週1日以下の低頻度在宅勤務者と、週2日以上の高頻度在宅勤務者に分けて比較したところ、「テレワークの頻度を変えたいのに会社が許してくれない」ことにストレスを強く感じていることも明らかとなった。

 具体的には、「もう少しテレワークの頻度を増やしたいが、上司が許可してくれないことがストレスである」を挙げた低頻度在宅勤務者が37.5%と、高頻度在宅勤務者の20.7%を上回った。一方、「もう少しテレワークの頻度を減らしたいが、上司が許可してくれないことがストレスである」と回答した低頻度在宅勤務者は5.4%にとどまったのに対して、高頻度在宅勤務者が20.0%と多かった。

東京大学医学系研究科精神保健学分野の調査で、ハイブリッド勤務者を低頻度在宅勤務者と高頻度在宅勤務者に分けて比較した結果の一部(n=196)
東京大学医学系研究科精神保健学分野の調査で、ハイブリッド勤務者を低頻度在宅勤務者と高頻度在宅勤務者に分けて比較した結果の一部(n=196)
出所:東京大学医学系研究科精神保健学分野の資料を基に日経クロステックが作成
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 こうしたストレスの理由について、川上特任教授は「ハイブリッド勤務者には、それぞれ自分に合ったテレワークの頻度がイメージとしてあるものの、実際の頻度とずれてしまっているのではないか」と分析する。

 ハイブリッド勤務者がイメージしている自分に合ったテレワークの頻度は、「仕事で他の社員とどの程度コミュニケーションを取る必要があるかといった担当業務の内容や、外交的かどうかといった性格、在宅勤務の環境、家族との関係といったもので決まってくる。個別性の高い問題だ」と川上特任教授はみている。

 川上特任教授によると、こうした性格や在宅勤務の環境などの条件によって、テレワークに合っているかどうかといった「テレワーク適用度」がビジネスパーソンそれぞれで決まってくるという。このテレワーク適用度が「現実のテレワーク頻度と合わないと、ストレスが出てくる」(川上特任教授)。テレワーク頻度のミスマッチが、ハイブリッド勤務者のストレスの要因になり得ると言えそうだ。