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維持管理に伴う意思決定を効率化

 英国と同様、インフラの維持管理を担う人材の高齢化が深刻な日本国内でも、ICT(情報通信技術)をフル活用して、技術者の負担を減らす取り組みが目立ってきた。

 2020年には、東日本高速道路会社が打ち出した道路インフラの新たなメンテナンスシステムである「スマート・メンテナンス・ハイウェイ(SMH)」の本格運用が始まる。センサーやロボットといったICTを駆使し、道路メンテナンスを高度化する。

 SMHの核となるのが、新たに開発した「次世代道路保全情報システム(RIMS)」と呼ぶデータプラットフォームだ。構造物の諸元や点検情報、図面情報といったデータを、位置情報にひもづけて格納する。データの検索や可視化、分析を瞬時にこなす機能も備えている。

次世代RIMSでは多様な分析結果を地図やグラフなどで簡単に可視化できるようにした(資料:東日本高速道路会社)
次世代RIMSでは多様な分析結果を地図やグラフなどで簡単に可視化できるようにした(資料:東日本高速道路会社)
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 「日々の点検結果がリアルタイムで共有され、補修の判定をすぐに下せる体制を築く」。東日本高速管理事業本部SMH推進チームの板倉義尚サブリーダーはこう説明する。従来は複数のシステムに蓄積していた情報を1カ所に集約して、意思決定の時間短縮を狙う。

 同社は次世代RIMSを他の道路管理者に横展開する活動にも力を入れる。東北大学インフラマネジメント研究センターと連携して自治体向けに改修したシステムは、山形県や宮城県、仙台市が実用化済みだ。他の高速道路会社とも、共通API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)によるデータ連携の協議を始めている。

 横展開を進める背景には、「日本全体の点検データの質を底上げする」という目標がある。「維持管理用に人工知能(AI)を活用するうえで、教師データの質が重要になる。より多くの良質なデータを蓄えることが、日本の道路メンテナンスの技術力を押し上げるはずだ」(板倉サブリーダー)

補修計画を立てる際には、高速道路を360度カメラで撮影して作成した「全周囲道路映像」上で現場の状況を確認できる(写真:日経コンストラクション)
補修計画を立てる際には、高速道路を360度カメラで撮影して作成した「全周囲道路映像」上で現場の状況を確認できる(写真:日経コンストラクション)
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