海や川から離れた場所に居ながらリアルな釣りの楽しさを実感でき、しかも本当に魚が釣れる――。ドラえもんのひみつ道具「お座敷つりぼり」さながらの世界が、2~3年後には実現しそうだ。
ドラえもんのお座敷つりぼりは、マットを自宅の部屋などに広げて座標を指定すると、マットの表面が遠隔地にある海や川の水面に変わり、そこに釣り糸を垂らすと釣りを楽しめるというものだ。
お座敷つりぼりをそのまま実現するのは難しい。遠隔地の海や川がそのままのび太の部屋とつながるという、「どこでもドア」に似た異空間の接続が前提になるためだ。だが、それにかなり近い体験を実現しそうなキーテクノロジーが出現している。ANAホールディングス(ANAHD)が開発に取り組んでいる「ANA AVATAR」だ。
遠隔操作ロボットと仮想現実(VR)ゴーグル、ネット回線などを組み合わせた技術だ。例えば釣りの場合はユーザーの居る場所と海や川の双方に釣りざおを設置する。ユーザーが釣りざおを上下させる動きと連動して、海や川に設置した遠隔操作ロボットの釣りざおも上下する。魚が食いついたときの引きも、ユーザー側のさおに連動して伝わる。海や川の様子は360度カメラで撮影し、ユーザーが装着するVRゴーグルでリアルタイムに見える。釣りざおの操作やフィードバック、映像を低遅延で伝送するコーデック(符号化方式)、ネットワーク技術がキーテクノロジーとなる。