PR
全2352文字
子供のころに誰もが憧れたドラえもんの「ひみつ道具」は、いつの日に、どんな形で現実になるのか。日経コンピュータの創刊1000号を記念し、大胆予測した。画像認識やロボティクス、VRなどの技術進化によって、10年後つまり2029年には実用化しそうな8つの道具を示そう。今回は「架空通話アダプター」について取り上げる。

 「聞いてよドラえも~ん、会社でミスして上司にしかられちゃってさ」「しょうがないなぁ、ちゃんと準備したの?」。作中に登場するのび太とドラえもんの会話ではない。早ければ2029年、あなた自身がドラえもんと話ができる通話サービスが登場するかもしれない。

 ドラえもんのひみつ道具で言うなら「架空通話アダプター」だ。電話機にアダプターを取り付けると、本当は通じていないのに相手が出て話ができる道具である。実在の人物はもちろん、歴史上の人物、アニメや漫画のキャラクターとも話せる。

©藤子プロ・小学館
©藤子プロ・小学館
[画像のクリックで拡大表示]

 キーとなるテクノロジーは自然言語処理や音声認識といったAI(人工知能)技術と、質問に対する自動応答プログラムのチャットボット技術だ。ある人物の発言録や日常会話をテキストデータにして蓄積し、「この人物ならこう聞かれたらこう答えるだろう」といった受け答えの種類や語彙、言い回し、口癖などを解析する。特定の人格を想定した質問と回答を組み合わせたQAリストと、自動応答システムから成る対話エンジンを作る。用意する人格のバリエーションが多いほど、理想的な架空通話アダプターに近づく。

新宿2丁目のママも再現

 萌芽となるサービスは既にある。対話AIの開発を手掛けるベンチャー、SELFの消費者向け対話アプリだ。AI技術を基に開発した「仮想人格チャットボット」がテキストデータによって利用者と対話を繰り返す。

 独自デザインのロボットに美少女、イケメン男性。同社が用意した仮想人格チャットボットはどれも個性的だ。新宿2丁目のバーで働くママという設 定のチャットボットもある。

 「今の仕事でなくても、別の仕事なら輝けるかもしれないじゃない」「自分探し?どうせまだ見つかってないんでしょう」。愚痴を聞く、恋愛や仕事の悩み相談に乗る、過去の経験話や面白い雑談を披露する―― 。受け答えは本物のバーのママさながらだ。

 ワンパターンの応答を繰り返すだけではない。利用者が入力した選択肢やキーワードに基づいて会話のパターンを変える。過去の会話を記憶し「そういえばダイエットしたいと言ってたけどどうなった?」などと思い出して語りかける。こうしたパーソナライズ機能によって「利用者の意図や心情に寄り添った、極めてプライベートな対話ができる」(SELFの生見臣司社長)。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

日経クロステック登録会員になると…

新着が分かるメールマガジンが届く
キーワード登録、連載フォローが便利

さらに、有料会員に申し込むとすべての記事が読み放題に!
有料会員と登録会員の違い