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子供のころに誰もが憧れたドラえもんの「ひみつ道具」は、いつの日に、どんな形で現実になるのか。日経コンピュータの創刊1000号を記念し、大胆予測した。画像認識やロボティクス、VRなどの技術進化によって、10年後つまり2029年には実用化しそうな8つの道具を示そう。今回は「ほんやくコンニャク」について取り上げる。

 2018年の訪日外国人数が年間3000万人を突破し、街中で外国人から話しかけられる場面も増えている。そんな時に便利なのが、日本語と外国語を相互に訳せる小型翻訳機だ。内蔵マイクに向かって話すと、クラウド上の翻訳エンジンが任意の言語に翻訳し、内蔵スピーカーで読み上げる装置である。

 小型翻訳機の代表的製品であるソースネクストの「POCKETALK(ポケトーク)」を見て、ドラえもんのひみつ道具「ほんやくコンニャク」を思い浮かべた人もいるだろう。ほんやくコンニャクは食べると相手の言葉が日本語に聞こえ、自分の言葉は相手に分かる言語になって伝わる未来の翻訳機だ。

©藤子プロ・小学館
©藤子プロ・小学館
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 現在の小型翻訳機はまだほんやくコンニャクの域に達していない。今は短文から数文程度の全体を聞きためてから翻訳して読み上げる「逐次通訳」のスタイル。訳文を読み上げる時間を取られるため会話が途切れがちで、リアルタイム性に欠く。この点で期待されるのは「同時通訳機」だ。その開発は急速に進んでおり、2025年にも実用化する見通しだ。

ソースネクストの小型翻訳機「POCKETALK(ポケトーク) W」
ソースネクストの小型翻訳機「POCKETALK(ポケトーク) W」
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