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子供のころに誰もが憧れたドラえもんの「ひみつ道具」は、いつの日に、どんな形で現実になるのか。日経コンピュータの創刊1000号を記念し、大胆予測した。画像認識やロボティクス、VRなどの技術進化によって、10年後つまり2029年には実用化しそうな8つの道具を示そう。今回は「配役入れ替えビデオ」について取り上げる。

 映画の主人公に入れ替わりたい――。こんな願望を持ったことがある人は少なくないのではないか。ドラえもんのひみつ道具「配役入れ替えビデオ」ならその願いが叶う。この道具は望み通りに配役を入れ替えられるものだ。

©藤子プロ・小学館
©藤子プロ・小学館
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 実は現実世界でも同様の研究開発が進んでおり、早ければ5~6年後には実用化しそうだ。「自分がアクション映画の主人公になりたい」「今は亡き名優が演じる新作を見たい」「息子を大好きなヒーロー番組に登場させたい」といった人々の夢や希望をかなえる技術と言える。

 鍵を握る技術は「ディープフェイク」だ。深層学習を使って、動画に写っている人物の顔を別人と入れ替える。用意するのは、動画に登場させたい人の写真と、その人の登場先となる動画だ。深層学習で動画を解析して顔の向きや表情を抽出し、それと合うように写真の顔を変形して合成する。

 最初に登場したのは2016年。米スタンフォード大学が「Face2Face」と呼ぶ研究の一環で、政治家の写真を使って、実際には存在しない記者会見の動画を公開して話題を呼んだ。