「眠っているお金を再び世に出せば、日本のためにすごく役立つ」。ドブさらいをしていて100円玉を見つけたのび太はドラえもんをこのように説得し、「カネバチ」というひみつ道具を出してもらう。数十匹のハチが道端などに落ちている小銭を勝手に見つけて拾ってきてくれるという話だ。
第一生命経済研究所によると、日本に眠る「タンス預金」の総額は2019年1月末時点で50兆円の大台を突破。前年比5%のペースで増えているという。政府は長年にわたって「貯蓄から投資へ」の方針を掲げて規制緩和を進めてきたが、狙い通りに進んでいないのが現状である。
ところが近い将来、何気なく生活をしているだけで資産運用が可能になる時代がやってきそうだ。背景にはデジタル技術の進化がある。
セブン銀行と投資アプリを手掛けるTORANOTECは共同で「リアルおつり投資」プロジェクトの実証実験に着手する。セブン銀行などが開発した「おつり投入ボックス」をコンビニエンスストアなどに設置。買い物の際に生じた小銭を投入するだけで、TORANOTECの子会社が提供するおつり投資アプリ「トラノコ」にチャージされ、同アプリが提供しているファンドに投資できる仕組みだ。金融庁の「FinTech実証実験ハブ」支援案件に採択されている。