寝ている最中に見ている夢をテレビに映し出す。ドラえもんのひみつ道具「夢テレビ」は、夢という脳の中のイメージを映像にしてくれる。手軽に使えるようになるには10~20年はかかりそうだが、研究は着実に進んでいる。
脳内の活動を読み取って機械に取り込む技術はBMI(ブレーン・マシン・インターフェース)という。BMIに詳しいNTTデータ経営研究所の茨木拓也アソシエイトパートナーは「夢という脳内の複雑な現象に迫る研究で日本は最先端を走る」と話す。
2013年に国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の神谷之康氏(現フェロー)のグループが発表した論文が世界的に有名だ。睡眠中の脳の状態をfMRI(脳内の血流などを計測する機械)を使って読み取り、並行して本人に夢の内容を聞いて記録する形で、脳活動と夢の中身の対応関係をモデル化。これを基に夢の可視化に成功した。ただし、ドラえもんの夢テレビに比べて映像が不鮮明で、読み取り装置が大がかりだという課題がある。
2013年時点の映像は本やクルマなど20分野の物体が夢に登場するかどうかを判別できる程度だ。「テレビ」とはほど遠い。当時は脳の活動を映像化するための手がかりに乏しかった。