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子供のころに誰もが憧れたドラえもんの「ひみつ道具」は、いつの日に、どんな形で現実になるのか。日経コンピュータの創刊1000号を記念し、大胆予測した。愛犬との会話や透明人間なども決して夢ではない。AIが人の能力を超えるとされる2045年までには実現する可能性のある5つの道具を紹介しよう。今回は「夢テレビ」について取り上げる。

 寝ている最中に見ている夢をテレビに映し出す。ドラえもんのひみつ道具「夢テレビ」は、夢という脳の中のイメージを映像にしてくれる。手軽に使えるようになるには10~20年はかかりそうだが、研究は着実に進んでいる。

©藤子プロ・小学館
©藤子プロ・小学館
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 脳内の活動を読み取って機械に取り込む技術はBMI(ブレーン・マシン・インターフェース)という。BMIに詳しいNTTデータ経営研究所の茨木拓也アソシエイトパートナーは「夢という脳内の複雑な現象に迫る研究で日本は最先端を走る」と話す。

 2013年に国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の神谷之康氏(現フェロー)のグループが発表した論文が世界的に有名だ。睡眠中の脳の状態をfMRI(脳内の血流などを計測する機械)を使って読み取り、並行して本人に夢の内容を聞いて記録する形で、脳活動と夢の中身の対応関係をモデル化。これを基に夢の可視化に成功した。ただし、ドラえもんの夢テレビに比べて映像が不鮮明で、読み取り装置が大がかりだという課題がある。

 2013年時点の映像は本やクルマなど20分野の物体が夢に登場するかどうかを判別できる程度だ。「テレビ」とはほど遠い。当時は脳の活動を映像化するための手がかりに乏しかった。