ドラえもんの「透明マント」は羽織ると透明になれるひみつ道具だ。作中ののび太は未来の婚約者をこっそり訪ね、本心を聞くために使った。
限定的な条件なら既に透明になる技術は開発されている。例えば東京大学先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授は2006年、背景に人物を溶け込ませて透明に見せる技術「光学迷彩」を発表して話題になった。
稲見教授が開発した光学迷彩は「再帰性反射材」と呼ぶ材料で製作したマントを使う。再帰性反射材は微小なビーズ状のガラスを布の表面に付着させたもの。光が斜めから入射しても同じ方向に反射する性質を持つ。警備員の反射ベストなどに使われている。
このマントを羽織っただけでは透明にならない。人物の背景を撮影するカメラと、背景映像をマントに投射するプロジェクターを搭載した装置が必要だ。カメラはプロジェクター装置の横に置き、正面からは見えない人物の背景を斜めから撮影する。撮影した背景はプロジェクターを介してマントに投射。するとマントを羽織った人物の姿が見えなくなる。