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 日本システムウエア、DJIなど 
ドローン×AIで外壁攻略

 異業種の企業も、建物のメンテナンス市場に注目している。「外壁」に目を付けたのが、独立系システムインテグレーターの日本システムウエア(東京都渋谷区)だ。ドローンメーカーのDJIジャパン、日本マイクロソフトと共同で、ドローンとAIを組み合わせた「建築物メンテナンスサービス」の商用化を進めている。

 建築基準法12条1項では、不特定多数が利用する建築物の外壁について、竣工・外壁改修から10年後に、テストハンマーによる全面打診などを求めている。

 足場を設け、人手でひび割れや浮きを把握するにはコストや時間がかかるため、ドローンによる外壁調査へのニーズは強い。AIを組み合わせ、撮影した画像から損傷を自動検出できるようにすれば、調査・診断に要する時間を大幅に短縮できる〔図3〕。

〔図3〕ドローン×AIで外壁調査をスピードアップ
0.2mm幅のひび割れを検出する場合、ドローンは建物から2m程度の至近距離で撮影する。パイロットが手動で操縦する(写真:日本システムウエア)
〔図3〕ドローン×AIで外壁調査をスピードアップ
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(1)写真からひび割れを自動検出
(1)写真からひび割れを自動検出
幅0.2mm以上のひび割れを検出できる
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(2)赤外線画像から浮きを自動検出
(2)赤外線画像から浮きを自動検出
健全部との温度差で浮きの有無を診断するノウハウをAIが学習
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(写真・資料:日本システムウエア)

 既にディープラーニングによって、写真から幅0.2mm以上のひび割れを検出できるようになった。日本システムウエアは現在、ドローンに搭載した赤外線カメラの画像を基に、タイルの浮き(剥離)を自動検出するAIの開発に取り組んでいる。

 赤外線調査では、損傷箇所と健全部で生じる温度差を基に、打診をせずに浮きの有無を判定する。判定には高い技術力が必要になるため、建物の検査に詳しい建築検査学研究所(神奈川県大和市)の大場喜和代表と顧問契約を結び、AIに診断方法を学習させている。

 日本建築防災協会は19年春、「定期報告制度における赤外線装置法による外壁調査実施要領(案)」と「ドローンを活用した建築物調査実施要領(案)」をまとめた。国土交通省の補助を受けて17年度から検討を進めてきた成果だ。

 要領を示したことで、ドローンと赤外線を組み合わせた外壁調査の広がりに期待が高まっている。

 日本システムウエアサービスインテグレーション部の遠藤重樹部長は、「一級建築士や調査会社などに対してサービスを提供していく。19年夏をめどに開発を進めている」と話す。