全2044文字
本記事は、日経NETWORKの過去記事を再掲載したものです。

 インターネットのおかげで、日本にいながらも世界中の様々な地域から発信される最新情報を得られます。それらの情報の多くは英語で発信されており、ますます英語の読解力が求められるようになっています。多くの重要な情報は日本語に翻訳して配信されますが、やはり、翻訳前の生の文章から得られるニュアンスも含んだ情報は重要です。私は、海外の情報は翻訳されたものではなく、できるだけオリジナルの英文を読むようにしています。

 その際に私が心掛けていることは、「healthy skepticism(健全な懐疑主義)」を持って読むことです。「健全な懐疑主義」とは、書かれていることを自動的に信じてしまわずに、「事象に関する別の解釈がないか」「表現的な逃げがないか」「書かれていることの裏付けがあるか」──など、ある種の猜疑心(さいぎしん)を持って注意深く読むことです。

 私たち多くの日本人が外国語である英文を読むときに、どうしても見出しのキーワードに目がいってしまい、細かいニュアンスを見落としがちになります。このため、まんまと相手(書き手やニュース配信元)の術中にはまってしまうことになりがちです。そうやって早とちりした解釈をTwitterでつぶやいてしまったりすると、あっという間に誤解した情報が広まることになります。例えば【1】の文章を読んだとき、みなさんはどう解釈しますか?

【1】

OPQ Corporation is working to implement hardware-enabled virtual routing within its Fire Speed series switches.(実在のプレスリリースに基づき筆者が創作)

 要約すると、「OPQ社はハードウエアベースの仮想ルーティングをFire Speedシリーズのスイッチでサポートの予定」といった感じでしょうか。

 しかし「健全な懐疑主義」を持って読むと、「hardware-enabled」が気になります。hardware-enabledとは、「ハードウエア実装された」とでも解釈すればよいのでしょうか。また、「ハードウエア実装」の対象がFire Speed「シリーズ」となっていることも気になります。

 それらを総合すると、必ずしも現行製品でサポートされるのではなく、新しいASICを適用した次世代の同シリーズ製品でサポートされることを意味している可能性が高くなります。となると、現世代のFire Speed製品では仮想ルーティングはできないし、ソフトウエアのバージョンアップで将来サポートされることも期待できないという、むしろネガティブな解釈も成り立つのです。

 実際のところはOPQ社に確認してみるか、第三者が取材した記事から裏付けを取っていくしかないのですが、健全な懐疑主義を働かせないと、発信元に都合のよい形で受け入れてしまうことになりかねません。