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本記事は、日経NETWORKの過去記事を再掲載したものです。

 私がLANやMAN(メトロ網)の国際標準を審議するIEEE 802委員会の会合に継続的に参加するようになって、20年がたちました。仕事に恵まれたということもありますが、これだけ長く参加していても、飽きることがありません。そこには、標準化をめぐる真剣な議論や駆け引きがあり、ドラマがあるからです。

 IEEE 802委員会の会合は、総会(Plenary)と呼ばれる定期会合が3、7、11月の年3回、それぞれ約1週間開催されます。それ以外に、作業部会(Working Group)ごとに中間会合(Interim)と呼ばれる会合があり、各作業部会の活動状況に応じて、総会と総会の間に開催します。すべての会合に出るとおおよそ年6回となりますが、私の場合、年3回の総会を中心に参加し、審議の動向などをつかむようにしています。

 私が参加したのはブリッジやスイッチの標準を審議する802.1WGとイーサネットの物理層やMACを審議する802.3WGの2つです。Webで登録して会議参加費(当時は500~1000ドル)を払えば、基本的に誰でも参加できます。

 会合に参加して感心するのは、アメリカ人を中心とした参加者の議論の進め方です。利害が異なるメーカーや通信事業者が集まり、数多くの技術方式を審議して、標準として採用する1つの方式を決めるのですから、様々な対立が発生します。そこを議論して1つひとつ結論を出して標準を取り決めていくのは、並大抵のことではありません。厳しい対立が発生して合意にたどり着くのがほとんど不可能に思えるような場合でも、粘り強く議論して、最終的には大多数が納得する結論を導き出していくさまは、感心するほかありません。

 ちなみにIEEE 802委員会の場合、技術的(technical)な決議の成立には、単純な過半数ではなく、75%以上の賛成が必要です。それほどまでの大多数が合意しないと前に進めない仕組みを導入することで、単なる数集めではなく、1つ1つの技術的な判断に対して、参加者のコンセンサスが形成されるように配慮しているのです。