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 電子工学の技術者から転身し、ミシュランの3つ星を獲得したオーナーシェフがいる。2019年10月放映のNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも紹介されていた米田肇さんである。そのイノベーティブな料理は技術者出身と何か関係があるのか――。実際に米田さんから話をうかがい、イノベーションの在り方など料理を超えた多くのヒントをもらった。今回から2回に分けて、米田さんから教えてもらった「イノベーションのレシピ」を紹介する。

料理界のイノベーター

 米田さんは、これまでの料理界の常識にとらわれない芸術作品のような料理の数々で、世界を驚かせてきた。例えば、「Planet earth『chikyu 地球』」「River『kawa 川』」「Sky『sola 空』」といった料理である。chikyu 地球では、100種類以上の野菜と貝を使い、地球の循環進化を表現、kawa 川では、川に戻り産卵し、また土に戻るという、生命のつながりと美しさを表現した。sola 空では、見上げると希望が湧く対象である空を、渡り鳥で表現した。鳥に見えるのは黒にんにくである。

Planet earth「chikyu 地球」
Planet earth「chikyu 地球」
(出所:HAJIME)
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River「kawa 川」
River「kawa 川」
(出所:HAJIME)
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Sky「sola 空」
Sky「sola 空」
(出所:HAJIME)
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 どれも想像を超えて、規格外の発想だ。それでいて、奇抜さではなく、人々に感動を与える。元気になるエネルギーをもらえる芸術的な料理だ。

 米田さんの独創的な料理は、世界的に評価されている。自らがオーナーとなるレストラン「HAJIME」をオープンしたのは2008年のこと。それから僅か1年5カ月でミシュラン史上最速の3つ星に輝いた。「アジアベストレストラン50(Asia's 50 Best Restaurants)」など他のランキングでもリスト入りしており、世界的にも知られている。

 ミシュランのカテゴリーでは「イノベーティブ」に分類されており、3つ星としてはとても珍しい。国にとらわれず、料理人やシェフのオリジナリティーを取り入れた新しいスタイルに進化した料理がイノベーティブと定義されるようだ。米田さんはまさに“料理界のイノベーター”といえる存在である。

 なぜ、このようなイノベーティブな料理ができたのか――。

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