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 日本の米がおいしい。同じ白米にも数多くの銘柄米が存在しており、銘柄米がおいしいのはもちろんだが、複数の品種をうまく交ぜたあるブレンド米が銘柄米を超えて人気を博している。米やコーヒーなどにおけるブレンドというと品質が低いイメージがあるが、筆者の常識は変わった。今回は、そのきっかけとなった京都の米料亭「八代目儀兵衛」を紹介しながら、ブレンド米のイノベーションの「味」を探る。

久々に感動したごはん

 2020年6月のある日曜日に京都の祇園にある八代目儀兵衛の祇園店に行った。コロナ禍のこの時期、きっと空いているだろうと思って予約しなかった。ただ、混雑を避けたいという思いもあって、午後1時過ぎを狙って訪れた。しかし、誤算だった。なんと炎天下の中、20人ほどの人々が行列をつくって並んでいた。コロナ禍にどうしてと不思議に思ったが、1時間後に入店して食べたら納得した。

 普通の料理店と違って、米が主役のレストランだ。出されたご飯はつやつやで熱々で、おいしそうな香りが漂う。ふっくらとしていて甘さも感じられてとてもおいしかった。おかずは定番メニューだが、ご飯に合う感じに味付けされているようだ。ご飯とのバランスが良い。

米料亭「八代目儀兵衛」の祇園店
米料亭「八代目儀兵衛」の祇園店
(撮影:筆者)
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土鍋釜で常に炊きたてのご飯
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土鍋釜で常に炊きたてのご飯
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土鍋釜で常に炊きたてのご飯
(出所:八代目儀兵衛)

 驚いたのはおいしさだけではなく、「すみません、お代わり」という声が周りから絶えないことだ。ご飯をお代わりできる店は多いが、実際にお代わりする人はそれほど多くない。お代わりをするとしても、ちょっと小さな声で遠慮がちに伝える場合も少なくない。だが、この店では堂々と「お代わり」を言うのだ。しかも1回だけではなく、2回、3回という客もいる。そして、筆者の1回目のお代わりにはおこげが盛られていた。これも懐かしいおいしさだった。

八代目儀兵衛祇園店のランチメニュー
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八代目儀兵衛祇園店のランチメニュー
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八代目儀兵衛祇園店のランチメニュー
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八代目儀兵衛祇園店のランチメニュー
(撮影:筆者)

 このおいしいご飯は、実は有名な銘柄米ではない。ブレンド米だ。八代目儀兵衛社長の橋本隆志氏の話から、ご飯の味だけではなく、米に凝縮されたイノベーションの「味」に秘密があることが分かった。