全5496文字
PR

監視は嫌だが、相談には乗ってほしい

 テレワークの広がりとともに、在宅勤務のための業務管理ツールも増えてきた。

 テレワークを導入している企業では、部下がサボらずに真面目に仕事をしているか、業務が滞りなく進んでいるかなど、働きぶりを確認するためのツールへの需要がある。実際、パソコンのマウスやキーボードの操作から勤務状況を把握するツールや、パソコンの画面をランダムで撮影して働きぶりを確認するツール、社員の位置情報をトラッキングするシステムなどが存在する。

 そこで、こうした仕組みが導入された場合にどう感じるかを、7090人全員に聞いた。その結果、マウスの動きや画面、カメラなどから働きぶりを監視するシステムへの嫌悪感が目立った。一方、「チームメンバー全員の業務量や残業時間をグループウエアなどのITツールで確認する」「TODOリスト(やることリスト)と進捗状況を常にチェックする」の2項目については、「全く問題ない(気にならない)」と「問題ない」の合計が50%を超えた。上司に行動を常に監視されるのは嫌だが、業務量や仕事の進捗は把握していてほしいという部下の気持ちが見えてくる。また、部下にとって上司は、気軽に相談できる存在であってほしいものだ。上司への相談をサポートしてくれるツールなら、部下にとって魅力的に映るだろう。

Q:あなたの職場で以下のような仕組みが導入された場合、どのように感じますか。すでに導入されている方は、現在感じていることをお選びください(それぞれひとつずつ)(N=7090)
Q:あなたの職場で以下のような仕組みが導入された場合、どのように感じますか。すでに導入されている方は、現在感じていることをお選びください(それぞれひとつずつ)(N=7090)
(出所:日経リサーチ、日経TechFind)
[画像のクリックで拡大表示]

AIの需要はどこにあるか

 本調査では、「AIによるデータ分析で管理者の業務をサポートすること」への受容度についても7090人全員に尋ねた。具体的には、下記のような仕組みを例として挙げた。

  • パソコンの利用状況に応じて働きぶりをAIで数値化し、さぼりがちな社員にはアラート(警告音など)を出す。基準を超えた場合は上司に自動で報告する
  • メンタル状態をAIで数値化し、ストレスがたまっている社員には休憩を取るよう促す。うつの予兆などが見られる場合は上司に自動で報告する
  • タスクの量や内容、所要時間や優先度に応じて時間区切りのスケジュールをAIで自動生成し、業務が滞っているときにアラートを出す

 こうしたシステムについて、導入したいかどうかを5段階で尋ねたところ、「積極的に導入したい」は4.3%、「導入しても良い」は13.5%にとどまった。一方、「導入したくない」は23.6%、「絶対に導入したくない」は23.1%で、合わせると半数近くに達する。「どちらともいえない」は35.4%だった。

 AI活用のヒントを探るために、少数派だが、「AIを積極的に導入したい」と答えた層の考えを、上司(管理者)と部下(非管理者)に属性を分けて詳しく調べてみた。上司側の自由回答を見ると、「忙しい」「便利なのでAIを導入したい」というコメントが目立つ。一方、部下側で「AIを積極導入したい」と答えた人の自由回答を見ると、「上司」の人間性や「パワハラ」について言及した内容が多かった。人間性に疑問を抱いていたり、パワハラと感じている上司に仕事を指示されたり評価されたりするより、AIにやってほしいという切実な思いが伝わってくる。AIは、多忙過ぎる上司や、上司に恵まれず力を発揮できない部下の救世主になるかもしれない。

 加えて、部下の立場で「AIを積極導入したい」と考える人の属性を分析すると、教育現場の専門職に就いている人が目立った。教育現場ではテレワークの実施率が低く、業務におけるIT活用もあまり進んでいない。そのため、上司の人間性によって労働環境の良しあしが大きく左右されることが背景にありそうだ。

 また、年代別にAIツールへの受容度を比較したところ、20~30代の受容度が高かった。これから若い年代層が職場の中心になっていくことで、AIツールは今よりもずっと受け入れられるようになりそうだ。