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 コロナ禍や半導体不足、超円安、ウクライナ危機などに伴うエネルギー価格の高騰……。経営を脅かす事象が次々と日本企業を襲う。企業はそれぞれ、どのように対応してきたのか。これらを踏まえ、今後の事業継続についての意識・考え方は変わったのか。日本企業の経営企画担当者など100人に聞いた。

 日経TechFindとビザスクは2022年6月、コロナ禍や半導体不足、急激な円安やエネルギー価格の高騰など、ここ数年に相次いだ事業継続を脅かす事象を経験した製造業に対し、事業を継続するための「レジリエンス(復元可能性、変化や不測の事態への対応力や回復力)」への意識がどう変わったかを調査した。製造業の日本企業100社の、経営企画担当者を中心とする100人が回答した。

 ビザスクは、企業とアドバイザー(有識者)とのマッチングサービスを手がける。調査では、データベースに登録された業界・業務に精通する国内外52万人超の「アドバイザー」に対するアンケートを実施できるサービス「エキスパートサーベイ」を利用した。

 今回の調査では便宜的に製造業に調査対象を限ったが、流通業やサービス業にとってもコロナ禍や仕入れ価格高などは共通の課題であり、参考になる調査結果になっているはずだ。

「レジリエンス強化」の優先度は格段に高まる

 まず「事業計画上『レジリエンスの強化』はどのように位置づけられていたか」について、「2019年度以前(コロナ禍以前)」「2020年度(コロナ禍当初)」「2021年度(コロナ禍中)」「2022年度(現在)」の4期に分けて質問した。それぞれの時期に「最優先で取り組むべき事項である」「余裕があれば取り組みたい事項である」「取り組む優先度は低い」の3段階での位置づけを聞いた。

コロナ禍前後において、事業計画上「レジリエンス(変化や不測の事態への対応力や回復力)の強化」はどのように位置づけられていたか(n=100)
コロナ禍前後において、事業計画上「レジリエンス(変化や不測の事態への対応力や回復力)の強化」はどのように位置づけられていたか(n=100)
(出所:ビザスク)
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 これを集計したところ、「2019年度以前(コロナ禍以前)」は「余裕があれば取り組みたい事項」(52%=人)が最多だったが、「2020年度(コロナ禍当初)」以降は一貫して「最優先で取り組むべき事項」と位置づける人が最多になった。もともとある程度レジリエンス対応を意識していたが、コロナ禍でさらに優先度が高まったようだ。

供給側への影響は深刻、かつ対応困難

 コロナ禍の企業への影響について、マスコミなどでは需要の減少など販売面・需要側への影響に注目が集まりがちだ。だが、マクロで見るとここ2年、製造業などでは販売面が好調で業績も伸ばしている例が多い。

 一方で、調達など供給側には強い危機感を持っている人が多かった。「部品、材料の価格高騰」については100人中87人が「強い危機感」を持つとし、「部品、材料の供給不安定化」には68人が「強い危機感」を持つとした。

供給側(仕入れ先)で起きている変化について、2020年度以降で現時点までに感じてきた危機感の程度(n=100)
供給側(仕入れ先)で起きている変化について、2020年度以降で現時点までに感じてきた危機感の程度(n=100)
(出所:ビザスク)
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 具体的に起こっていることを自由記述欄から拾うと、「サプライチェーン混乱や部材(半導体)の入手困難の解消に想定以上に時間がかかり事業に損失をもたらした」(電子部品、経営企画)という声は多かった。

 「半導体不足のため、自動車メーカーの生産が減少し、予定した売り上げが立たなかった」(自動車部品・機械部品など非電子部品、経営企画)、「海外工場でコロナ禍のため従業員を雇えず、生産計画が思うように進まなかった」(業務用機械・製造用装置、経営企画)、「物流の停滞や海運コンテナ奪い合いの影響が大きかった」(精密機器、IT)といった切実な声も寄せられた。

 半導体の供給不足、中国など海外における新型コロナまん延やロックダウン措置による生産・輸送停滞などの影響で、部品の供給不足に陥った企業が少なくなかったようだ。「在庫を少なく持ったせいで被害を受けたため、多く持つことが必要だ」(素材、経営企画)という声もあった。