「50万円以下の市販ドローンでも橋は点検できる。予算の少ない自治体でも導入可能だ」
建設業向けに特化したドローンスクール、Dアカデミー(横浜市)の依田健一代表がそう言って取り出したのは、機体の上部にカメラを固定して、前面と上面を同時に撮影できるように改造した汎用ドローンだ。機体は30万円程度、カメラは約3万円で、いずれも容易に手に入る。
すでに千葉県君津市内の橋で、市やアイネット(横浜市)と共同で効果を実証している。長さ約50mのトラス橋の床版下面を手動で飛ばして連続撮影し、そのデータをつなぎ合わせて1枚のオルソ画像に変換。劣化状況を一目で把握できると確認した。カメラのズーム機能などを駆使すれば、鋼材のさびや支承の損傷も視認できるという。市は20年度の本格導入を目指して、職員自らこの市販ドローンを操縦して点検に用い始めた。
「0.1mm単位で正確にひび割れ幅を見分けられるような高価で高性能なドローンには及ばない。しかし、多くの自治体が求めているのは、劣化した多数の橋の補修順位などを安くて簡単に把握する技術ではないか」(依田代表)
大まかに劣化状況を把握した後は、損傷箇所を中心に近接目視などで詳細に点検すればよいという考えだ。それだけでも、点検に要する時間やコストを圧縮できる。