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 社員がパソコンで作業をする執務ゾーンに加えて、打ち合わせスペースなどと壁を隔てたゾーンを設けて、パーティションで半個室状態に仕切った「集中作業ブース」や、仮眠ができる「クイックスリープ」と呼ぶエリアを設けた。クイックスリープは「どうしても眠いのでちょっと仮眠してリフレッシュしたい」という社員に向けたエリアで、15分間を上限に利用できる。

日清食品ホールディングス本社オフィス内のパソコン作業に集中できるエリアの様子。社員はタブレットパソコンのSurface Proを携えてオフィス内を自由に移動して仕事を進めることができる
日清食品ホールディングス本社オフィス内のパソコン作業に集中できるエリアの様子。社員はタブレットパソコンのSurface Proを携えてオフィス内を自由に移動して仕事を進めることができる
(出所:日清食品ホールディングス)
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 新しいオフィスは執務する社員の席を固定しないフリーアドレス制だ。それに合わせて社員が使うITツールも見直している。2017年ごろから、オフィス内や、東京・新宿に点在する複数のオフィスの間を行き来する際、持ち運びがしやすいようにノートパソコンとしても使える米マイクロソフトのタブレットパソコン「Surface Pro」を導入した。同時期に社員は内線電話としても使える「iPhone」を導入。オフィス内で場所を問わない働き方がしやすくなった。

 Surface ProやiPhoneの導入はテレワークの拡大にも生かされている。2017年1月に同社は在宅勤務制度を始めた。社員がそれまでオフィスで使っていたノートパソコンはサイズが大きく持ち運びには不便だったが、Surface Proにすることで「家に持ち帰るときにも重さが苦にならず、テレワークがしやすい」と好評だという。

 2019年3月から社外で働く場を自宅に限定せず、カフェなどにも広げ、テレワーク制度に進化させた。背景には「自宅だと仕事がしづらい」といった声が社員から上がったことが大きい。自宅で仕事をしていると家で昼食を作る手間が増えるといった場合もあり、かえって仕事がしづらくなるケースがあるという。

 こうした課題を踏まえて、テレワークができる場所を、カフェなど自宅以外にも広げることにした。その際、「パスワードの管理は徹底する」「のぞき見防止フィルムをSurface Proのディスプレーに貼り付ける」「席を離れる場合はSurface Pro を置いたままにしない」「社外では印刷しない」といったセキュリティー対策のルールを設けて、情報漏洩の未然防止を図っている。

中途採用の社員が増えて働き方改革が加速

 日清食品ホールディングスが働き方改革を加速させたきっかけは、2015年ごろから中途採用の社員が急速に増えたことが大きい。経営や事業のグローバル化を加速させるため社員の中途採用を拡大。現在は社員全体の3割を占めるまでになっている。

 中途採用の社員から見ると、日清食品ホールディングスはITや働き方の点で他社から立ち遅れているように見えた。この気づきが社内に大きな動きをもたらす。中途採用の社員が入ってきたことで社内の人材が多様化。2015年からダイバーシティー推進の取り組みが始まった。女性リーダーを育成する研修制度を立ち上げたり、仕事と育児を両立できるように非常時にベビーシッター代を補助する制度などを整えたりして、女性社員が活躍できる環境を作ってきた。

 ダイバーシティーを推進していく中で、残業削減を含めた働き方改革の必要性が高まり、2017年、スマートワークプロジェクトを本格的に始めた。お昼の休憩時間を15分増やすことで所定労働時間を短くしたり、コアタイムがないフレックスタイム制度を整えたりした。オフィスワークを効率よく進めるITも刷新した。社員がオフィスワークで使うノートパソコンも従来は大型のものだったが、Surfaceに切り替えた。