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デジタル活用の促進に注力

 日清食品ホールディングスは2019年に入ってからも働き方改革のためのIT活用を進めている。2019年1月、社内のIT化をより一層進めていくプロジェクト「デジタライズ・ユア・アームズ」を始めた。ITの活用促進については、これまでも利用してきた、マイクロソフトのコミュニケーションサービス「Skype for Business」やグループウエアクラウドの「Office 365」の活用をさらに加速させる。

 Skype for Business はこれまでも働き方改革の一環で、離れた拠点にいる社員同士が移動の手間なく打ち合わせができる手段として活用してきた。加えて、Office 365に含まれるビジネスチャットの「Teams」やアンケートアプリの「Forms」など他のアプリの活用度も高めていく。

 また社内のIT化では経営判断に活用するための資料作りの効率化などに取り組む。米マイクロソフトのBIツール「Power BI」を導入し、「基幹系システムからデータをダウンロードしてExcelなどを使って経営資料を作成する」といった一連の作業を効率化した。

 さらにAI(人工知能)や、パソコン作業をソフトロボで自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用も視野に入れている。このうちAIについては、社内向けチャットボットアプリ「AIひよこちゃん」を社内で活用している。即席麺「チキンラーメン」のメインマスコットが管理部門に関する質問を社員から受け付けて、答えている。

AIひよこちゃんのやり取りの例。チキンラーメンのメインマスコットが「印刷ができない」といった社内から広く受け付ける質問に的確に答えてくれる
AIひよこちゃんのやり取りの例。チキンラーメンのメインマスコットが「印刷ができない」といった社内から広く受け付ける質問に的確に答えてくれる
(出所:日清食品ホールディングス)
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 日清食品ホールディングス人事部の佐藤彩氏は「問い合わせる社員と、答える管理部門の担当者の両者の応対の手間を減らすことを狙っている」と話す。2018年4月、AIの活用を目指してPoC(概念実証)を開始。2度にわたってテスト公開した後、本格的な開発に取りかかり、2019年3月に稼働させた。RPAも財務部門で、経理データの処理を一部自動化するといった適用を進めているという。

 日清食品ホールディングスはこのほか、最新設備を備える働きやすい工場である「次世代型スマートファクトリー」の建設も働き方改革の施策の1つに据える。滋賀県にある日清食品関西工場が代表例だ。2017年5月から工事を始めた。2019年12月をめどに最後の工事を完了させる予定だ。

 即席麺などを作る工場ではこれまで、重い原材料を運搬したり、製造設備に投入したりする力仕事が必要だったが、建設中の関西工場ではロボットを導入して運搬や投入作業を自動化している。

原材料の運搬などを自動化するロボットなどを広く導入しているスマートファクトリー、日清食品関西工場の外観
原材料の運搬などを自動化するロボットなどを広く導入しているスマートファクトリー、日清食品関西工場の外観
(出所:日清食品ホールディングス)
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 2018年10月から順次製造ラインを稼働させてきたが、「工場の地元では働きやすい工場として定着している」と段村プロジェクトリーダーは話す。一般に、工場の現場を支える人材の確保は難しくなっている。いざ人材を確保できても作業のきつさなどが原因で、離職する人材も少なくない。

 しかし関西工場は、重い荷物を運ぶといった作業を自動化していることから、離職率を低く抑えられているという。「工場の建設に当たっては、現場を支える20代の若手メンバーからの意見も反映した。未来型のスマートファクトリーができている」と佐藤氏は話す。