「Japan Quality(日本品質)」は終焉(しゅうえん)を迎えつつあるのではないか?──。これまで世界で高く評価されてきた日本企業の品質が変調を来している。一方で、世界の名だたる企業が、トヨタ自動車が生んだトヨタ生産方式(TPS)に基づく「リーン(Lean)経営」を実践し、飛躍的な成長を遂げている。
 海外企業がどうしてこれほど強くなったのか、日本人はほとんど気づいていないのではないか。この数年間に、筆者が実海外でコンサルティングやトヨタ流マネジメント(TMS)の研修を行なった経験や、現在パートナーとして協業しているオランダのコンサルティング会社や海外のLeanを研究されている学術者などの最新情報をも交え、海外企業がリーン経営にいかに力を入れているかを紹介したい。

高木 徹(たかぎ とおる)
豊田マネージメント研究所副社長
高木 徹(たかぎ とおる) 富士通のメインフレーム(OSIV/F4 MSP)の自動運転機能の開発・保守を担当後、ダウンサイジングの波に乗りリーンスターアップ的にUNIX上で次世代運用管理製品の企画・設計・開発を行う。フィールドでJavaのアーキテクトとして活動しつつ組織変革に興味を持ち、経営企画・人材開発・営業職を経験しTPSと出会うこととなる。
2006年トヨタ自動車e-TOYOTA部に出向(基幹職)し、アジャイルを実践してプロジェクトの生産性を向上させた。2007年富士通生産革新本部 TPS推進担当部長、2008年自律改善推進室プロジェクト部長。2009年10月豊田マネージメント研究所副社長。
TMS&TPS検定協会 副理事長 TMS検定策定委員。
米国の飛行機メーカー、韓国、中国などの企業への指導と日本的経営を中心にした生産性向上の理論であるTMSを普及する活動を行っている。日本では、大手ITベンダーや中小企業まで多くの会社での指導経験を持つ。TMS3級認定プログラム(改善塾)の卒業生の数は1300人を超える。著書に『トヨタ流の教科書【TMS編】』(日経BP社)』や『マンガでわかるトヨタ流の生産方式とマネジメント』(マイナビ出版)、『TMS4級公式テキスト』(TMS&TPS検定協会)、『プロセス改善 ナビゲーションガイド ベストプラクティス編』(オーム社)がある。